No.5 『映画を見て感情制御テスト』?ちょっと怖いかも…
------スニーカーの歩く音が2つ。
「んふふ……。
新しい服を買って、好きな……
(咳払い)
んっんん!
君にかわいいとかかっこいいとか言われて、綾王子は今ご機嫌なんだよ。
もうテストなんかやめて普通にデート……
(咳払い2)
んっんん!
遊ばない?
遊ばない……
そうですか。
で、そんな今ちょっと拗ねている綾王子に次は何のテストをするのかな?
『映画を見て感情制御テスト』……。
うん、名前がちょっと怖いかもな……
『泣ける映画を見て泣かないように我慢する』。
ははん、楽勝ですねぇ!
もう簡単すぎて今にも泣きそうだよ!
さあ映画よ、かかってこい……!」
------人がガヤガヤ。映画館のロビーの音(※なんて言えばよろしいのかわかりません)
「で、ジャンル的にはどんな映画なの?
……ふむ、戦争?
恋愛?
お、おう。
大丈夫?
なはずだよね。
ま、まあ百聞は一見にしかずって言うし?
まあ上映してからゆっくり話そう。
ね?
『というかさっきから腕に抱きついてきているからカップルかもって勘違いされて複雑な視線を感じる』っていう顔をしているね……。
別に良いじゃん。
そんぐらい仲が良いんだし。
(耳に急接近)
ね?
ダーリン♡」
「……ふっははは!
顔が真っ赤だよ?
そんなに効いたのかなぁ?
ふふふ、ごめんごめん。
からかっちゃった……それよりさ。
なんか食べたいのある?
え?
もちろん君の奢りだよ?
僕が払うわけないじゃん?
あ、もしかしてここも試験範囲?
マジか……ちっくしょー……!
しょうがない。
僕が奢るよ……え?
やっぱ奢ってくれるの?
優しい……え、好き(再びボソッ)
ん?
何も言ってないよ!
まあポップコーンLサイズ一箱あれば良いよね。
注文完了っ!」
「え?
もう呼ばれたんだけど。
手際良くないすかスタッフさん?
じゃあ僕が行ってくるよ。
待っててね!」
------スニーカーで駆けてゆく音。
…………(5秒の沈黙)人多いなぁ。
------スニーカーで駆けくる音。
「っと。
持ってきたぜよ!
とりあえず行こっか。
……うわぁ!
なんかめっちゃ列長いね!
つまり大ヒット作品ってことじゃんね?
わくわくしてきた……!
というかさ。
君って意外と紳士的なエスコートするんだね……何気なく転ばないように気を遣ってくれてるし。
まぁ…その…いいね。
あ、動き始めたよ!楽しみだなぁ」
------靴の音が滅茶苦茶響く。
「おお、映画館ひろぉい。
……足元気をつけてね?
で、僕らの席はっと……えっとL30、L30……ここか!
はいここどーぞ。
楽しみだなぁ。
もう待ちきれないよ!
どう?
楽しみ?
そっか。
……うりゃ!
初ポップコーンだ!
(ぼりぼりみたいな咀嚼音)
んまぁ…ほら君にも。
はい口開けて?
はいどーぞ!
どう?
……美味しい?
もっとあげる!
どりゃどりゃ……んふふ。
リスみたいだね。
かわい♡
っといけないいけない。
ほらそろそろ映画始まるよ!」
------ブザー音みたいな音。
------ブザー音と共に暗くなったシアター。姫路は映画に釘付けになって一瞬たりとも目を離さなかった。いつのまにか俺の肩に頭を乗せていたのは触れないでおこう。
------映画の終盤。
「ぐすっ…ぅぅ……ぐすん……。
(鼻声になりながら小声で)
え?
はんかち……いいの?
ありがと……ぐすっ」
------映画が終わった後。退場中。
「男の方が女の方の反対を振り切って戦場へ駆り出されるだなんて……。
ぅぅ、あんな感動的な映画で泣かないなんて。
君には感情というものはないのかい?
もぅ。
僕、悲しい物語見て、泣いちゃったから、誰かに甘えたいなぁなんて。
……ん。
あぅ、ちょっとくすぐったいけど気持ちいい。
もっと撫でて?
……うん気持ちいい。
このまま帰ろ?
『テスト不合格』……それ今言うこと!?
もう怒ったもんねぇだ……。
君は空気を読むテストをするべきだと思うな。
んにゅ。
ちょっいきなり撫でないで……」
------そのまま俺は綾のことをあやしながら家まで送った。
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