第10章「当てたいのはパンチじゃなくて、気持ちです」

そんなある日。元・世界王者のガブリエル・バッソが来日。


「この“インチキチャンピオン”に、リベンジマッチを申し込む!」


場外乱闘では何度も僕に倒されてるけど、ボクシングリングでは一度もパンチを交わしてない相手だ。


「俺は、正々堂々、実力でお前を倒す!」


……つまり、今回こそ事故を起こさずガチで戦うってこと?


俺……それ、超苦手なんですけど……!



試合当日。


1R:僕のパンチ → 空振り → ロープに引っかかってこける

2R:相手のパンチ → 僕、くしゃみ → 身をかがめて避ける

3R:僕のパンチ → 空振り → 相手の足元に落ちたバナナの皮で滑ってKO


「またかよ!!」


観客席から一斉に突っ込み。



💘エピローグ「ツイてても、ツイてなくても」


「俺さ…この“運の人生”で、何か一つぐらい、ちゃんと自分の力で掴みたいんだよ」


僕がそう言うと、カナさんは笑った。


「じゃあ試しに、“告白”とかどう?」


「……え、今?」


「今。言わなきゃ、運が逃げるわよ?」


「…カナさん、俺、あんたのことが…す…す──」


\ドゴォォォォォォォン!!/

告白中、近くの建設現場で足場が崩れ、鉄骨が落下。


でもそれがたまたまカナさんの背後にあって、僕が身を乗り出して──


鉄骨に殴られて、気絶。

でもカナさん、無傷。


そして──


👩「…なんで告白中に命がけなのよ……バカ」


その夜、目を覚ました僕の手には、彼女のメモが。


《正式な返事は次のデートで♡》





ツイてるだけのボクサー』第11章


「恋もライバルも、運頼みで上等だ!」



「よし……今日は運を使わずに、ちゃんと“実力”でカナさんを喜ばせる!」


そう決めた朝。

僕は生まれて初めて占いのページを閉じ、お守りも外し、神社にも寄らずにデートへ向かった。


──すると。


・電車 → 人身事故でストップ

・タクシー → 渋滞30キロ

・自転車 → パンク

・徒歩 → 鳩にフン落とされる


到着したとき、カナさんは帰るところだった。


「……アンタさ、運を外すと存在価値ゼロじゃん」


泣きそうだった。



🥊その夜──最大のライバル現る


名前は不破ガイ(ふわ・がい)。


プロ戦績:0勝99敗。

自己紹介:「ボクシング界、唯一の“世界一ツイてない男”です」


試合では…

• ゴングと同時にロープに足が引っかかる

• グローブのテープが急に外れる

• 相手のパンチに自分から突っ込む

• 偶然入ったハエに目を刺される(試合中)


「この不運、そっちに分けてやるよ!!」


不破ガイ vs 根岸ハルオ


「運 VS 不運」の、史上最もぐちゃぐちゃな試合が始まる。

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