EP021:E-DAY
出撃までの最後のチェックがおこなわれている。
地下数千メートルに造られた秘密工場は、自由傭兵軍のブルーボトルによる監視から完璧に隠されていた。
そこで昼夜休まずおこなわれているのは重装備攻撃型ドス・ゲイターの改造だ。
恐るべき正体を説明しよう。
ドス・ゲイターを縛っていた闘争本能拘束装置は全て外された。口は完全に解放されている。このことでキラーバイトファングよりも強力なアシッドファングに取り替えている。
重装甲ではあるもののコクピットを囲っていた特殊装甲とスリットの組み合わせは、視界が悪かった。狭い場所しか見えないのであれば自由傭兵軍のFBに遅れをとって当然だ。
その欠点は、新開発したキャノピタイプの操縦席で解決した。透明な強化樹脂をフレームにはめることで、スリット型とは比較にならないほど広い視界をえたのだ。
武装に関してはもっとすごい。
元皇帝イシヴァルが帝国を追いだされてから、ずっと用意してきたFBだ。改良されてもっと強くなった。
「こいつさえあればE作戦の成功は確実だ」
攻撃作戦Eが発令された。
東方大陸を追い出されていた元皇帝イシヴァルとその軍隊が、どこからか舞い戻ってきたのだ。
新帝国軍として!
目標の一つは……メガロビア軍港だ!!
メガトンザウルス艦隊が停泊する軍港。
しかし新帝国軍の新型重装備型ドス・ゲイターのミサイルがメガトンザウルスに次々と命中!
メガトンザウルスは動けなくなってしまった。
「早く脱出させるんだ!」
メガロビア港を警備するドス・ゲイター部隊は、謎の敵による強襲に苦戦していた。
ただの盗賊などではない。
正規軍以上の戦力に押されていた。
メガトンザウルスの動きを止めた新帝国軍は巨大強襲上陸艦──ウェーブショックに乗って上陸を開始する。
近くの海を警備していたガリオニクスはすでに。炎の輪を残して海底に沈んでいる。
ウェーブショックのハサミが分離。
鋏型強襲艇が次々とロケットモーターに点火して加速するや沿岸陣地の頭上を突破!
強化コンクリートの防壁に深々と突き刺さりゲートが開く。
鋏型強襲艇から新型FBドス・ゲイターが真っ先に海岸陣地へと突進する!
帝国軍沿岸守備隊のドス・ゲイターと、重装備攻撃型ドス・ゲイターの同種同士の戦いだ。
「こいつらどこの部隊だ!?」
帝国軍ドス・ゲイターは、謎の敵に苦戦した。
反乱軍との戦いが終わり、新皇帝テオドラをむかえていた。だから、現在の皇帝を気にいらない勢力がいることは分かっていた。
万が一の襲撃も警戒していた。
ドス・ゲイターのパイロットは、裏切りものである同型をにらむ。
誰が相手にせよメガロビア軍港の艦隊を狙わせるわけにはいかない。そこには帝国軍のハイメガザウルスだっているんだ。
「お前ら誰だろうが生きて帰れると思うなよ!」
ドス・ゲイターの細いスリット越しに見えていた敵が消える。
パイロットは反乱軍とも戦ってきた。
あの忌々しい鉄の野獣どもに比べれば──敵ドス・ゲイターを視界に引き戻す。
コマ送りのように見え隠れする。
もとより帝国FBは格闘戦は不利。
ドス・ゲイターは、敵の進路を塞ぐようにマシンガンを放つ。機械仕掛けで次々と送りだされる砲弾が地面で弾けた。
土煙の壁を怖がり敵ドス・ゲイターの足が止まる。
チャンスだ!
見逃さない。
一発めで敵ドス・ゲイターの装甲を吹き飛ばし、二発めがFB生命体を貫いた。
しかしドス・ゲイターの頭上には次々と上陸艇が飛んでいく。
このままでは全滅する…………。
メガロビア港を防衛するドス・ゲイター部隊はじわじわと後退する。
撤退命令が出されている。
だが、そのとき、である。
ドス・ゲイター同士の激しい撃ちあいのさなか、帝国正規軍の足元に巨大な穴が開いたのだ!
「なッ! 落とし穴か!?」
信じられないことにメガロビア港の分厚いコンクリートの底が抜けたのだ。
土煙のなか、ドス・ゲイターのパイロットたちは痛む体で周囲を見渡す。
巨大な空洞だ。
ライトをつける。
そこには、不気味に光を反射する目。
「敵だ!」
ドス・ゲイターは素早く砲口を向けて攻撃するが、鋭い〝角〟が深々とFB生命体を貫いていたのであった。
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