【第1部・完!】【パイロット版】フルメタルビースト 鋼鉄機獣ADAMANIX

RAMネコ

EP001:開戦!帝国FB軍団の侵略!

 ついにあらわれた帝国軍軍団。


 世界征服を狙うやつらは、強大な戦闘力をもつFB大軍団で要塞地帯から出撃して、ウルニアの森に入った。


 むかえうつのは自由を愛する反乱軍だ。


 帝国のおろかな行為を止めるためにたちあがった自由の戦士たちが、最強軍団の前に立ち塞がる。


 ウルニアの森西部──。


 何十層も枝葉が重なり暗い世界に、木漏れ日が地面を水玉模様にしている。


 光のベールにあたりながら、来た。


 暗い森をかきわけ巨大な獣が並ぶ。


 帝国軍、ワニ型ガリオニクス。


 反乱軍ナマケモノ型メガデウム。


 元々はどちらも長い年月をかけて成長した金属生命体だ。だが、対峙する両者はまったく違う!


 帝国軍は数々の改造で兵器を搭載している。


 ガリオニクスはワニ型特有の巨大な顎をもつが、全体の半分は固定されて開けなくなっている。


 野生の本能を抑えつける。


 帝国軍らしい改造である。


 地球の賢い子どもたちであれば、帝国軍のFBが戦車にも見えてくるだろう。そのとおりである。戦車など装甲戦闘車として、装甲で覆って、ドライバーやガンナーなどの複数の人間が乗りこんでいる。


 それに対して反乱軍は野生のままの姿だ。


 改造は少ない。


 特殊な金属の装甲板どころかFBの、生身の金属肌のままな部位がある始末だ。帝国軍と比べれば高度なキャノンや装甲はなく、科学技術では遅れをとっている。


 しかし!


 人とFBが一身一体であり野生のままの闘争本能は強力なパワーで帝国軍に勝っている。


 反乱軍メカは、FBの神経に直接コードを繋いで強制的に操作する帝国軍とは比べ物にならない格闘戦能力を発揮できるのだ。それもたった一人で操縦できる……いや、彼らには頼りになる『相棒』がいるではないか。


 戦いは、ガリオニクスが背負うキャノンの砲撃から始まった。背中の戦闘室に入る数人の帝国兵が、キャノンに弾を押しこみ、尾栓を落とすことで封鎖する──放たれた砲弾はメガデウムの胸にあたりダメージを与える。


 一斉射だ。


 白煙が森を隠す。


「装填作業急げ!」


 帝国兵は焦りをふくんで叫ぶ。


 飛び道具のある帝国軍メカと比べれば、反乱軍のメガデウムは爪と牙しか武装はない。ごく少数、バリスタ──凄い大きな機械仕掛けの弓で、矢は槍ほどもある──を装備したメガデウムもいたが少なすぎる。


 先手は当然、帝国軍。


 さらに数度は撃てるかも。


 一方的に、撃破できる。


 数倍の数がいたって、帝国軍FBは反乱軍を壊滅させられるだろう。


 なのになぜ?


 キャノンからでた白煙を突き破って、反乱軍FBが次々と飛びだしてくる。


 メガデウム部隊には傷ついた個体も多い。だが、ガリオニクスの何倍も速い思考と動きのアタックは、帝国軍FBを易々と引き裂くには十分だ。


 どんな建物よりも巨大な木々がならぶ、ウルニアの暗い大森林で帝国軍と反乱軍は激突する。


 帝国軍の誇るガリオニクス部隊の半分が背中のキャノンで狙い撃つなか、半分は巨大なあごを開き必殺のキラーバイトファングで突撃してくる。


 帝国軍の技術力で自動化されたキャノン砲は、正面しか撃てないものの、再装填が早くて反乱軍のメガテウム部隊は得意の格闘戦に持ち込めない。


 キャノンをかわすためバラバラになっていくメガテウム部隊に楔を打ち込むがごとく──顎持ちのガリオニクスが突入した。


 地を鳴らして近づく姿は恐ろしいものだ。


 怖がりであればそれだけで逃げてしまう。


 反乱軍は勇気をふるいたたせて戦うのだ。


 しかし迫るガリオニクスの大きな顎は、一撃でまっぷたつだ。


 ガリオニクスのキラーバイトファングが、あっという間に反乱軍のメガデウムに噛みつく!


 格闘戦ができるなんて帝国軍の精鋭だ。


 反乱軍メカの、改造がほとんどされていない体ではまともに耐えられない。


 必殺の一撃を受けてしまった哀れなメガデウムは、火花を散らしながら森に沈められてしまった。


 だが反乱軍は冷静だ。


 ゆっくりと、交代だ。


 メガデウムを追撃するガリオニクス部隊。


 格闘戦にもつれこんでいる乱戦での戦い方は、反乱軍のほうが経験豊富だ。


 キャノン砲が止まる。


 同士討ちを避けていた。


 太い大木があちこちに生えているせいで、帝国軍のガリオニクスたちはたちまち、バラバラの方向にしか進めなくなる。


 いまだ!隊列が乱れたぞ!


 ガリオニクスがメガデウムを圧倒しながら進むほど孤立していく。


 乱戦中のメガデウムとは別の部隊が迂回していた。迂回した部隊は木の上へと登り下の世界での戦いを見ていた。


 樹上のメガデウムが一斉に落ちてくる。


 強力な腕と爪、サンダーネイルの攻撃が、ガリオニクスの死角である上から襲い次々と撃破していく。


 ガリオニクスといえども無敵ではないのだ。


 背中のキャノン、尻尾のインパクトテールが届かない背中に乗られてしまうと一方的に攻撃された。


 ガリオニクスたちを率いる隊長は、勇敢な反乱軍の戦いに驚いて逃げていく。


 何かがおかしい。


 反乱軍のメガデウム部隊が気がついたときには、背後から襲われていた!


 次々倒れていくメガテウム。


 いったい何がおきたんだ!?


 謎の襲撃者の正体は、ウルニアの森に暮らすオオカミ型ダークウルフだ。暗闇に溶けこむ迷彩と、音もなく迫る足で素早い攻撃をしてくる。


 いや、ダークウルフは改造されているではないか!


 帝国の紋章が肩に輝くダークウルフの群れは、野生種にはない分厚い装甲、複合センサ、何よりも腹下にヴェノムスピアを装備している。


 ヴェノムスピアに撃ち抜かれたメガデウムは、ただでさえ薄い装甲が錆びて崩れていく。


 帝国軍は罠を待っていたのだ!


 今やメガデウムは全て地上に降りている。


 後退していたガリオニクスが戻ってくる。


 ダークウルフの精鋭パイロットはこの機会を狙って、帝国軍では少数しかいかいない獰猛なFBで格闘戦してきた。


 獰猛なメガデウムが叫び迎えうつ。


 ヴェノムスピアで崩れた装甲ごと剥ぎ取ると、野生の本能を剥き出しに反撃する。


 いかに『野生風』であろうとも帝国に飼い慣らされた状態のダークウルフは、本物であるメガデウムの本能に追いつけない。


 メガデウムの怒りが混乱を吹き飛ばし、ヴェノムスピアに撃たれ、ガリオニクスのキャノンに爆破されても止まらず、爪と牙の間合いで大暴れする。


 ウルニアの森の戦いは、反乱軍の勝利だ。


 しかし勝利を喜ぶものはここにはいない。


 帝国の侵略を止めるまで彼らは戦うのだ。

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