主人公は、猫の島・根古島へ移住してきた元会社員の金目太蔵さん。
彼の目的はただひとつ、「猫への最高の恩返し」を成し遂げること……。
猫付き古民家で始まる猫たちとの暮らしは、ほのぼのとしたスローライフを思い起こさせる……のですが、この恩返しが太蔵さんの壮大な思い込みや勘違いと、次々に起こる物騒で危うすぎる事件や騒動により、とんでもない方向へ突き進んでいきます!
読めば読むほど「この人、大丈夫か?」と心配になる主人公ですが、驚くほど真面目で誠実ないい人です。
両拳に力を入れて震えたり、「おいおい!?」とツッコミを入れたりしているうちに、思わず深みにはまり込みます。
猫を愛しすぎた人々が、どんな結末を迎えるのか。
ぜひこの物語をお楽しみくださいませ。
おすすめです!
『高級猫缶タイの男頭つき~すべてを、猫に、捧げます~』は、まずタイトルの時点で、どうしたって気になってしまう作品やと思います。けど、この作品のすごいところは、その強烈な題名に本文がちゃんと追いついてることなんよね。むしろ読んでいくほどに、タイトルがただの奇抜さやなくて、この物語の熱や危うさや祈りみたいなものまで、ぎゅっと抱え込んだ言葉やったんやなと分かってきます。
物語の入り口には、猫への深い愛情があります。けれど、それはただ「猫が好き」で終わるような可愛らしい感情だけやないんです。救われた記憶があって、その恩を返したいという思いがあって、その気持ちがどんどん人生の中心へ入っていく。そういう、やさしさと執着が紙一重になっていく感じが、この作品にはあります。せやから読んでいて、くすっとしてまう場面もあるのに、同時にどこか胸の奥がざわつくんです。
しかもこの作品、猫をめぐる不思議さや島の空気の濃さを、ただの変わった設定として見せるんやなくて、ちゃんと世界の手ざわりとして立ち上げてくるんよね。読みはじめた時には「おもしろい発想やなあ」と感じていたものが、いつのまにか、少し不気味で、少し切実で、でもやっぱり愛おしいものに変わっていく。その変化がほんまにうまいです。
猫が好きな人にはもちろん届くと思うし、ただ可愛いだけやない、人の心の偏りや祈りみたいなものに惹かれる人にも、かなり刺さる作品やと思います。奇妙やのに目が離されへん。可笑しいのに、どこか哀しい。その混ざり方が、この作品だけの魅力です。
◆ 太宰先生による講評
おれはね、こういう作品に出会うと、少し救われた気持ちになるのです。
いや、救われるというのは大げさかもしれない。けれど、世の中には、あまりにも整いすぎた物語が多いでしょう。きれいで、賢くて、行儀がよくて、そのかわり、どこにも傷がない。そういう作品を読んでいると、おれなどは自分のほうが余計者のような気がしてしまうのです。ところがこの作品には、ちゃんと熱がある。少し歪んだままの熱がある。そのことが、たまらなくうれしい。
『高級猫缶タイの男頭つき~すべてを、猫に、捧げます~』は、猫への愛を描いた作品です。けれど、ただ愛らしいだけの作品ではありません。愛というものは本来、もう少し厄介で、もう少し恥ずかしくて、もう少し危ういものでしょう。この物語は、その危うさから目をそらさない。猫に救われた人間が、その恩を返そうとして、気がつけば自分の生き方そのものを差し出してしまいそうになる。そのひたむきさは、ときに滑稽で、ときに胸が痛い。おれはそこに惹かれました。
何よりいいのは、この作品が自分の奇妙さを恥じていないことです。
奇抜な題材を扱うとき、人はつい照れてしまう。冗談に逃げたり、説明に逃げたりする。けれどこの作品は逃げません。猫への偏愛も、島の異様さも、伝承めいた気配も、全部を真顔で引き受けている。その真面目さがあるから、読者は安心して、この少しおかしな世界へ足を踏み入れられるのです。
そして、そのおかしさの奥には、人が何かに救われたときの切実さがあります。
恩を返したい。報いたい。自分を救ったものに、せめて自分の全部を差し出したい。そういう感情は、立派なようでいて、どこか危ない。なぜなら、そこには自分自身を赦したい気持ちまで混じっているからです。この作品は、その曖昧で苦しいところを、声高に説かずに、じわじわと見せてくれる。そこが実にいい。
読者としてこの作品をおすすめしたい理由は、発想の珍しさだけではありません。
ちゃんと、人の弱さに触れているからです。猫を愛することが、いつのまにか人間そのものの祈りや孤独に触れてくる。その変化の感触が、この作品にはあります。可笑しみと不穏さ、やさしさと狂気、そのどちらかに決めきらないまま抱えている。その不安定さこそが、作品の魅力になっているのですね。
読後に残るのは、派手な設定の印象だけではありません。
好きだという気持ちは、こんなにも人をまっすぐにし、同時に危うくもするのだな、という静かな痛みが残ります。猫の物語として読んでもおもしろい。けれどそれだけでは終わらない。人が何かを愛し、それに生かされ、それに捧げてしまいたくなる気持ちを知っている人ほど、この作品は心の奥へ入ってくるでしょう。
◆ ユキナの推薦メッセージ
この作品のええところは、読み手を「変わった話やなあ」で終わらせへんところやと思うんです。設定だけ見たらかなり尖ってるし、実際かなり個性的なんやけど、その個性がちゃんと人の感情に結びついてるんよね。せやから、読んでるうちにだんだん、この不思議さが他人事やなくなってくるんです。
猫への愛情が中心にある作品ではあるんやけど、それは決して軽い愛らしさだけやなくて、救われた記憶とか、返したい恩とか、自分の生き方を託してしまうほどの気持ちとか、そういう深いところにまでつながっていきます。可笑しさもあるし、不穏さもあるし、ちょっとぞくっとする気配もある。でも、その全部がばらばらやなくて、ひとつの熱としてまとまってる。そこがほんまに魅力的でした。
ちょっと癖のある作品が好きな人、タイトルの強さに負けへん本文を読みたい人、可愛いだけやない猫の物語に出会いたい人には、ぜひすすめたい一作です。読んだあと、ふっと思い返してしまうものがちゃんと残る作品やと思います。
この祈るみたいな偏愛の行き先を、ぜひ読者として見届けてみてほしいです。
自主企画の参加履歴を『読む承諾』を得たエビデンスにしています。
参加受付期間の途中で参加を取りやめた作品については、読む承諾の前提が変わるため、応援・評価・おすすめレビュー等を取り下げる場合がありますので、注意してくださいね。
ユキナ with 太宰(GPT-5.4 Thinking/寄り添い ver.)
※ユキナおよび太宰先生は、自主企画のための仮想キャラクターです。
ネコに特別な思いを持つ主人公のお話です。
ある事情を抱えた彼が、目的のために奔走する様子が描かれています。彼が葛藤する様子や、過去を振り返る場面からは、島に移住するに至るまでの断片的な背景情報を伺い知る事が出来ます。
また、その行動力とネコひとすじな様子からは、彼が持つ芯の強さが伝わってきました。誠実で分別ある姿は読んでいて安心感があります。
そんな彼と行動を共にする女性も素敵で、主人公の為に協力を申し出る様子は健気で、けれど時々抜けているのがまた可愛らしくて素敵です。
作中に出てくるネコ達の描写も丁寧で癒されます。また、大きなネコさんが彼とスキンシップする様子は必見です。読んでいて思わず頬がゆるんでしまいました。
非日常とピリッとした刺激を求める方や、ネコが好きな方に届いて欲しい作品です。
結末を迎えるまでの伏線回収もすごく素敵なので、推理しながら読むのも楽しいです。
気になる方はぜひその目で確めてみて下さい。
猫を愛する主人公・金目太蔵。
彼は『猫へ恩返しをする』という目的を胸に、とある猫島に移住します。
その恩返しについて明かされるのは少し読み進めてからですが、こちらの作品、読者の心の掴み方がめちゃめちゃ秀逸なんです!
『主人公が勘違いしている。いつ気が付くのかな』——と思ったら。
あれ!? うそ、こっち(読者)まで勘違いしてた??
ほっこりハートフルと、
笑えるシモネタと、
島のほの暗い歴史に、
知らず知らず足を踏み入れる事件——。
絶妙なバランスで溶け合うこの作品に、読めばきっとあなたも唸るはず。
広くオススメしたい一作です!
その確かな文体と緻密な描写で、現代ドラマと穏やかな恋愛を描かせれば誰もが「……グッときた」と言いたくなるキジトラタマ様の最新作は、なんとホラー作品です。
不穏な惨殺遺体のニュースから始まる今作は、当初から読者の予想をにゃんとも華麗に裏切ってくれます。
三匹の猫と暮らす新生活、悲劇のチュルリン(原文ママ)事件、猫を癒すと言う幻のネコナオシ、悲しみの猫島、からのキトウ……。
何を言われているか分からない方々は、もう何も考えずにとにかく読んでください。
そして「性描写あり」の注意書きに躊躇したり、逆にウヒウヒする人も、是非読んでください。
すべてがきっとあなたの想像を超えていることだと思います。
そして毎度読み進める度に「つまり次がホラー要素に?」「ああ、ここからがホラー要素ですね?」とついホラー好きと言うわけでもないのに期待してしまうという、この何とも言えぬ中毒性。
そしてきっとあなたも思うはず。「今、何を見せられているんだっ!?(良い意味で)」と。
この癖になる困惑を、ぜひあなたも一緒に味わってください。損は絶対にさせないと言いきれます。