作戦前の準備

 次の日の朝、俺とノゾミは今日行われる『世界救済の会』の本拠地に侵入する作戦の準備を進めるヒスイたちを横目に、ザ・洋食って感じの朝食を朝食を食べていた。ノゾミも昨日の夜、気持ちを吐き出したおかげか、いつもの調子に戻っている。

 メニューは、トースターに目玉焼き、加えてドレッシングがかけられたサラダ。さらにはコーンポタージュまである。昨日の夕食と今日の朝食、なんでこんなにも極端なんだ?

 そんなふうに思いながら完食し、俺達はヒスイの待つ部屋に向かった。


 部屋に着くと、ヒスイが入り口の前で待ち構えていた。

「来ましたね。さあ、装備を準備いたしました。これがノゾミさんのもので、あちらがハルさんのものです」

 そう言って指さされた道具に目を向けた。

 一つは、俺の体の三分の二ほどの面積を覆いかくすことができる大きな盾。持とうとしたが、俺が非力すぎるのかピクリとも動かすことができない。すると、ヒスイがキューブのようなものを手渡してきた。

「な、なんだこれ?」

「それはパワードスーツの一種です。胸の前にかざすと、所有者に合ったサイズに変更され、着用できます」

 こんな技術まで持っていたのか。感心しながら、言われたとおりにキューブを胸の前にかざす。すると、突然キューブが膨張し、俺の身体を包みこんだ。

 しばらくして、形状の変化が止まった。俺は自分の姿を確認しながら、手を広げて握ってを数度繰り返した。

 不快感はない。むしろ、すごく心地良いし、身体も軽い。最高の気分だ。再度自分の姿を確認する。スーツはなんというか、メカニックで、「男の子ってこういうのが好きなんでしょ?」とでも言わんばかり。イケてるぅ。

 ふと、ノゾミの方に目を向ける。ノゾミも同じくパワードスーツを身につけている。俺のものと形状は違うが、多分きっとかなりの強化がされているだろう。

 よく見ると、足に何かゴツい装備を身に着けているとこに気がついた。

「それは?」

 俺が尋ねると、ノゾミは片足を上げて、ブーツを指さして説明してくれた。

「これは移動を補助してくれる装置らしいです。足の裏やふくらはぎの辺りからジェットを噴射して加速することもできるんだとか」

「へえー、すごいな」

「ですよね」

 そうこうしていると、ハリが俺達を呼びに来た。

「さあ、準備は整いましたか?」

「はい!バッチリです!」

「そうですか。それでしたら、私についてきてください」

 ハリは一呼吸置いて、語気を少しだけ強めて言った。

「作戦を実行しますよ」

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