独り言

兀々 をかし

少女は言った

少女は言った、

「なぜ恋に落ちるのだろうか」

私は言った、

「人は愛に飢えているからだ」

少女は言った、

「なぜ愛に落ちるとは言わないのだろうか」

私は言った、

「愛。何かを育み、それを通じて上へ登るからだ」

少女は言った、

「そもそもそこに価値はあるのだろうか」

私は言った、

「君は天使をみたくないのか」

少女は言った、

「なんですかそれは」

私は言った、

「普通の女性だ」

少女は言った、

「それは羽があるのですか」

私は言った、

「もちろんだ」

彼女は言った、

「その女性が上へ連れては行かないのですか」

私は言った、

「連れて行って欲しいというのが女性なんだ、たとえ羽が生ていても」

少女は言った、

「私はそんなに弱くないです」

私は言った、

「あなたのことを言っているのではない」

少女は言った、

「私は女性ですよ」

私は言った、

「あなたは天使ではない」

少女は言った、

「私は天使になれるのですか」

私は言った、

「あなたはなれませんよ」

少女は言った、

「なぜですか」

私は言った、

「天使になるのは必ず恋をしたものではない」

少女は言った、

「あなたは登っている最中なのでしょうか」

私は言った、

「ああそうとも」

少女は言った

「あなたに天使は見えていますか」

私は言った

「月に隠れています」

少女は立派な女性となり私に言った、

「私はどうでしょうか」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

独り言 兀々 をかし @hoju95

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る