このお話は、浮気気味の婚約者王子に心を傷つけられた公爵令嬢が、街角で出会った冴えないチェリストの音楽に惚れ、身分を隠して庶民楽団に潜り込み、自分の音楽と恋心の両方に真剣に向き合っていく物語です。王宮での屈辱的なキス目撃事件をきっかけに、公爵令嬢は「音楽は裏切らない」と自分に言い訳しつつも、心の痛みを抱えて、音楽家として対等でありたいという願いから行動を起こします。楽団では、貴族として忖度されるのではなく、実力だけで評価されたいと偽名を名乗り、庶民的な話し方や飲み物配りなど不慣れな雑用にも悪戦苦闘しながら、音楽仲間たちとの距離を縮めていきます。さあ、彼女の物語はどうなっていくのでしょう。続きはぜひみなさまで。
読み始めは「よくある令嬢もの」だと思っていました。婚約者がいるのに他国の姫にうつつを抜かす王子……。「ああ、この手の話ね」と誤解してしまいそうになります。
ですが、作者様に伝えたい。もったいないです!お約束の展開とはいえ、これほどの名作が入り口で誤解されてしまうなんて……。(偉そうなことを言ってすみません!)
楽団が登場すると、ワクワクが止まらなくなります。
世間知らずの公爵令嬢ルイーズが、平民中心の楽団に入る物語。王子の婚約者である彼女は、驚くほど世俗を知りません。地味にしたつもりの服装は、平民なら一目見て驚かれてしまう始末。日ごろ使用しているバイオリンは屋敷が買えるほどの逸品。そんな彼女の「勘違い」も楽しみの一つです。
何より、楽団員たちが皆、魅力的でいい人ばかり。彼らの中でルイーズが成長していく姿は、令嬢物語でありながら、深く温かい人間模様を描いています。いわゆる気分が悪くなるような胸くそ展開がなく、最後まで気持ちよく読めるのも魅力です。
作者様に代わって声を大にして言わせてください。読んで損はさせません!まずは楽団に入るところまで、ぜひ読み進めてみてください!