第19話 「町田で撮影ロケ!」

「今日こそ、寄せ鍋戦士団の真の勇姿を撮るわよ!」

まどかの気合いに、すみれとあかりはうなずいた。


行き先は――町田。


「地元の聖地を制してこそ、真のヒロイン!」

(※誰も定義してない)





第一ステージ:仲見世商店街


昭和レトロな通りを、3人のコスプレ姿が歩く。


すみれ(無花果様):黒と金の強キャラ衣装

まどか(マミヤ):肩出し+布大量

あかり(謎のプリキュア風):ピンクにハートとラメ


通行人が一斉に振り返る。


「えっ……何かの撮影?」

「新手の町田系ヒーローグループか?」


あかり「寄せ鍋戦士団参上っ☆」

まどか「ちょっ、言うなって!」

すみれ「通報される前に撮って!」





商店街の飴屋さんの前で、3人がポーズ。

シャッター音。


すみれ「……これ、なんか昭和の特撮ポスターっぽいね」

まどか「タイトルは『主婦戦士VS物価高』ね」

あかり「ラスボスは家計簿!!!」





第二ステージ:町田リス園


次なる舞台は癒やしの王国。


「かわいい……!」

リスを見てテンション爆上がりの三人。


でも、餌を持った瞬間――リスが群がる。


「きゃー!布かじらないで!?」

「私の衣装、リスの歯形ついたぁ!」

「やめて!そこ装飾代3000円したの!!」


園内の子供たちが笑っていた。

「お姉ちゃんたち、がんばれ〜!」


……あの日、リス園に戦士たちの悲鳴が響いた。




第三ステージ:町田シバヒロ〜忠生公園


午後。

広いシバヒロでの撮影。

青空の下、風が吹き抜ける。


三人で立つ。

寄せ鍋戦士団ポーズ。


シャッターが切られるたび、

笑い声と、少しの誇らしさが胸に広がる。





撮影を終えた帰り道、忠生公園で小休憩。

夕日がオレンジ色に染める中、すみれがつぶやいた。


「なんかさ、ここで青春してる気がするね。」

まどか「今さら青春でも、いいじゃない。」

あかり「今がいちばんキラキラしてるっしょ!」


3人は笑った。


リスの歯形、焦げたウィッグ、歪んだポーズ。

全部ひっくるめて、これが彼女たちの青春だ。





夕暮れの風が髪を揺らす。

“遅咲きでも、咲けばいい”

そんな言葉が、自然と心に浮かんだ。






つづく




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『青春コンプレックスだったけど、今さら青春して何が悪い』 べすこ @minota0212

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