第7話「宅コス修行・迷走編」

池袋で無花果様リベンジを果たした翌週。

「もう私、いけるんじゃね?」という謎の自信が芽生えていた。


「サロンの力に頼らず、自分でやらなきゃ意味ないでしょ!」

と、宅コス修行・第二章が幕を開ける。





第一形態:メイク迷走


アイシャドウを塗りすぎて、

目元がパンダ通り越してラスボスのゴリラみたいになる。


「……これは威圧感じゃなくて、ただの野性味だな」





第二形態:衣装迷走


Amazonで見つけた“セクシー戦士風コスチューム”。

届いてみたら布地が少なすぎて、中華街のパンダまんじゅうの包み紙くらいの面積しかなかった。


「え、これ戦うどころか、外出できないじゃん!」


結局、タンスから黒Tシャツを引っ張り出してコーデ。

結果、ただの「疲れた会社員 in 武闘派リップ」になった。





第三形態:ウィッグ迷走


オレンジ色のウィッグを引っ張り出し、

「これで映えるはず!」と意気込む。


しかし、静電気で逆立ち、

スーパーサイヤ人ならぬスーパー静電気人間が爆誕。





最終的に撮れた写真は――

無花果様でもなく、ダルシムでもなく、

“日曜の夕方に現れる謎の怪人”。





でも、不思議と落ち込まなかった。


撮影中、

「どうせ失敗するだろ」って自分で笑えたし、

ポーズを取るたびにちょっと楽しくなった。





たぶん私は、

まだまだ迷走し続けるんだろう。

でも――迷走するだけのエネルギーがあるなら、

それも悪くない気がした。




つづく

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