第15話 邂逅


 輸送艦から飛び立ったUH-60JAは海面スレスレの低空飛行を続け、敵外勢力が見られない島の北東部で特戦群隊員6名を降下させると、再び輸送艦へと戻って行く


 特殊作戦群


 自衛隊陸上総隊隷下の特殊部隊である

 機密保持の為、詳細は一般公開されていない


 オーストラリアでの合同演習に参加中の水陸機動団本隊が間に合わないのは兎も角、沖縄本島の米軍基地でメンテナンス中だったLCACを急遽派遣するにしても、情報がアメリカ側に筒抜けに為ってしまう


 アメリカ製のLCACは国内では部品調達さえままならなかった

 これも、アメリカの軍事戦略である


 なので、わざと灘瀬海将補に弘原海 和磨へ電話をさせて、偽の情報をリークさせたのである


 通話が盗聴されるのは最初から織り込み済みであった


 想定通り、輸送艦が沖縄を出港する前に、各国特殊工作員が大挙して押し寄せる結果と為り、これまた予想通り、米軍特殊部隊がロシアと人民解放軍を殲滅させてくれた


 彼等の目的は " 特異点 " たる謎の少女の確保であり、状況に応じて接触者である弘原海 和磨の身柄も確保対象、もしくは排除対象となり得た


 自衛隊としては、日本国民である弘原海 和磨 元二等海曹の安全確保を法的根拠として出動していた

 何しろ和磨は特異点との唯一の接触者である

 しかも、今回特異点は和磨を求めて上陸したと推定されている


 何としても他国へ引き渡す訳にはいかなかった


「少佐、軍用ヘリが島の北東部より侵入、兵士6名が展開中です、練度から恐らく " S " と思われます」

「 …… 来たか、やはり偽情報だった様だな」

 " S " とは、自衛隊特殊作戦群の別称である


 島の上空を旋回待機中のドローンが捉えたサーモグラフ画像から、兵士の動き方に至るまで丸見えであった


「アーロン、ペリー、ベーカーは私と共にお客さんのお饗しおもてなしに当たれ、残りはここで監視継続、我々が戻らない場合、時間通りに標的を確保しろ」

「作戦を継続不可能な場合は?」

 副長のカービーが、.50口径M82対物ライフルに装着されたスコープから目を離さずに確認する


「 …… 予定通り、速やかに標的を殺害し撤収したまえ大尉」


「了解だ、少佐」


「では出動だ諸君!各自撃鉄を起こせ」

「「サー!イエッサー!!」」


 フェラルド以下3名の米軍特殊部隊は、消音器を装着したM4自動小銃を手に夜の闇を進む

 

 


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る