闇傭兵は必要ですか? 〜闇属性ショタと入れ替わった僕はヤバい味方と共にこの世界を生き抜く、たとえそれが悪だとしても〜
草田蜜柑
第1話 終わる世界
たとえ世界が百回変わったって。
たとえ人生を百回やり直したって。
僕は、僕の罪を後悔してなるものか。
「はっ、はっ、はぁ」
人を、殺した。
いじめっ子だった。
毎日毎日殴られた。馬鹿にされた。
誰も助けてくれなかった。
大人どもが大切なのは僕の人権よりあいつらの人権だった。
僕の助けは大人どもからすればどうでもいいもので、煩わしくて、くだらないものだった。
だから僕は自分を守ったんだ。
誰も僕を守らないなら僕を守るのは僕しかいない。
僕は僕を守る為にあいつらを殺した。
それは罪で悪で愚かで最低な事だ。
僕は裁かれ償いを求められる。
でも僕は僕を助けてくれなかった大人が嫌いだ。この世界が嫌いだ。
だから大人の命令もこの世界の命令も聞いてやらない。
誰にも僕の罪を裁かせない。
誰にも僕の心を傷付けさせない。
僕は後悔なんてしない。
この罪は僕の生きた意味であり誇りだ。
自分の力で手に入れた唯一の勲章だ。
人に流され、虐げられ、蹲るしか出来なかった僕の手に入れた唯一無二なのだ。
屋上を開け放てば曇天の雨空だ。
ほら、世界は僕を祝福しない。
でも良いよ、僕は明るい太陽なんて嫌いだ。
朝を知らせる太陽が嫌いだ。
朝なんて永遠に来なきゃ良い、永遠に夜なら良いのに。
でも世界は僕の事なんてこれっぽっちも考えちゃくれないから。
さよなら、
フェンスを超えて、飛び降りる。
僕はその日、この世界に別れを告げた。
その、はずだったのに。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
生まれてはいけない命だった。
それなら最初から殺せば良かったのに。
僕は生かされた。
生かされたから辛かった。
奴隷だった。
元は親がいたはずだけど、疎まれる命だから捨てられた。
疎ましいけど殺したくないから捨てられた。
殺して欲しかった、生かされたくなかった。
生きたかった、死にたくなかった。
何度鞭で叩かれた?
何度薬を飲まされた?
友達はいつの間にかいなくなった。
発狂して処分された。
恐ろしい化け物になって処分された。
いつかは僕もああなるの?嫌だ、死にたくない、嫌だ、死にたくない、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!
僕は願った、何に願ったか分からない。
昔、僕に言葉を教えてくれた兄ちゃんは神という存在がいると言っていた。
僕は信じてなかった。
神様がいるとしても、その神様はきっと僕が嫌いだから。
嫌われてるから僕はこんな目に遭ってる、皆死んでるんだ。
神様は僕達を虐める大人達が大好きで、僕達が嫌いだから助けてくれないんだ。
そんなものに祈ってたまるか。
だから……僕が願うのは、死んだ兄ちゃんや、死んだ友達に対してだ。
死んだ人は星になる。
なら僕は星に願うよ、星に祈りを捧げるよ。
神様に嫌われてお星様になった人達に僕は願うよ。
どうか、僕を助けて、と。
そしたら……空から、大量のお星様が降ってきた。
沢山の、黒く燃える黒いお星様が、僕達を閉じ込める施設を燃やし尽くした。
大人達を燃やした。
友達も、皆も、燃えてしまった。
消えろと願おうとして、出来なかった。
僕は友達に生きて欲しいと願うより、大人達に死んで欲しかった。
その時分かった。
僕は大人達が憎かったんだ。
この世界が憎かったんだ。
友達に生きてもらうより、大嫌いな奴らを殺したくて、仕方なかったんだ。
いつの間にか施設は粉々になってて、僕を閉じ込める狭い部屋も壊れていた。
大人達は塵も残ってなくて、でも僕以外の奴隷達も皆死んだ。
僕だけ生きた。
「あ、はは、はっ……」
大嫌いな大人が死んだ。
大好きな友達が死んだ。
僕は……この世界に生きてる意味が見出せなくなった。
死にたくない死にたくないって思ってたのに、生きるとか、どうでもよくなった。
だってこの世界は僕が嫌い。
僕と同じだった友達は全員死んだ。
この世界は僕の敵だ。
僕の大切な人は全て、空にいるんだ。
それなら、僕も空に行こう。
皆と1つになろう。
「お願い、僕を、迎えに来て?」
空から黒いお星様が落ちた。
僕は、大嫌いなこの世界を捨てて、お星様になった。
その、はずだったのに。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「「なんで僕は、生きてるの……?」」
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