<「魔王と恋バナ? いいよ!」を読んで>
主人公・彩花は、恋バナを聞くことに情熱を注ぐ高校生。日常的な友人との通話から始まり、突如トラック事故に巻き込まれて命を落とす。しかし物語は悲劇に傾かず、むしろ軽快に異世界へと転移する。ガラケーの存在感、明るい一人称の調子、そして「魔王と恋バナをしてほしい」という唐突な依頼。突飛な展開でありながら、不思議と腑に落ちるリズムで物語が進む。
彼女がカップルを救う場面の「恋バナがひとつ、なくなっちゃう!」
ヒーロー的行為でありながら、根拠がきわめて彩花。恋バナへの一途な情熱が、倫理や責任感よりも先に彼女を動かす。軽やかで、そして危うい。キャラクター像を端的に示す一行。
文章は明るい口調で統一され、緊張や不安の場面でもコミカルな余韻。舞台が異世界に移っても、揺らがない。だから職人少女ソフィアとの邂逅に漂う微かな不穏さが際立ち、引き込まれる。軽快さと違和感の同居が、この作品の魅力だと考えます。