100日後に死ぬジト目の女勇者
りねん翠
Arc1【火花】の章
Chapter 1
第01話_1
「よくぞ、
賞賛の言葉が、
「勇者リュミエール・ステラよ」
国王アウグスト三世がそう呼びかけても、
ザルファス
「顔を上げよ、
救世主、ねぇ。
呪王との戦いで、私の右手の
「陛下、ありがたき幸せ。ですが臣民の
私は顔をあげ、立ち上がる。革のグローブをはめた右手が、
「……そう言うな、女勇者リュミエールよ」
国王が前置きを始めた
「お前にはもう一つ、重要な役目がある」
ほら、
「我が
「お断りします」
王座の間が、しんと静まり返った。
「……勇者よ、今何と?」
「政略
私は再び
「私は勇者として、この国の
「勇者よ、君は」
「陛下」
私は顔を上げ、国王の目をまっすぐ見た。
「私には、もう時間がありません」
その言葉に、国王だけでなく、王座の間にいる
時間がない。
そう、私は知っている。ザルファス討伐の際に受けた呪いの代償を。
残り
これは呪王からの最後の
そんな
「時間がない、とは何のことか」
国王が
私は立ち上がると、軽く頭を下げた。
「
そう言い残し、私は
「待て、勇者よ!」
国王の制止の声が背後から
王座の間の
そこで待っていたのは
「お
「セレナ」
私は歩みを止めることなく答える。
「国王陛下にはちゃんと説明しておいてください。100日という期限も
「承知いたしました」
セレナは私に歩調を合わせながら答えた。
「それにしても、王子
「
私は
「どうせ周囲は、『国のため』『
「それは
「偏見で結構」
私たちは城の中庭を横切る。夕暮れの光が
「セレナ、あなたも知っているでしょう? 私がなぜ
「……」
セレナは答えない。答えられないのだろう。
私には、仲間と呼べる存在がいない。正確に言えば、かつてはいた。だが、最後には全員が私を裏切った。勇者の名声や
その結果、私は一人になった。
一人で戦い、一人で勝利し、そして一人で死んでいく。
それが私の運命なのだ。
「リュミエール様」
セレナが静かに口を開く。
「もしかすると、この100日で何かが変わるかもしれません。新しい出会いや、新しい発見が」
「ないです」
私は
「私はもう、人間関係に期待することをやめました。
中庭の向こうに、
「それに」
私は足を止め、振り返ってセレナを見た。
「100日後に死ぬ人間と、
セレナの表情が
「リュミエール様……」
「心配いりません」
私は軽く
「私は慣れているんです。一人でいることに」
そう言って、私は再び歩き始めた。
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