路上占い、あれこれ⑧
崔 梨遙(再)
1話完結:800字
あれは・・・十年以上昔のこと。
いつものミナミの夜の路上。僕は占いをしていた。そこで僕の前に座ったのが女性2人組だった。2人とも、僕より少し年上に見えたが、そんなことはどうでもいい。向かって左の女性もどうでもいい。僕は右の女性の笑顔に圧倒された。その女性は、小夏という名前で、ものすごく魅力的だった。痩せてもいない、太ってもいない、バランスのとれたスタイル、美しい顔、そして何より、芸能人級のオーラ! 僕はオーラに圧倒されたのだ。僕は、小夏とお近づきになりたかった。占いだけではなくフレンドリートークで場を盛り上げて、上手く連絡先をゲット出来た。
小夏は大阪から特急電車で2時間くらいの街に住んでいる。メールのやりとりはあったが、再会は難しいと思われた。
ところが、急遽小夏が女友達と大阪に1泊で来るという話になった。
「大阪を案内してほしい」
ということで、僕は小夏達を連れ回した。なかなか、小夏と親しくなるチャンスが無い。僕は焦った。こんなチャンスは滅多に無いからだ。
夜。
僕は小夏達と同じホテルに泊まった。小夏達はツインの部屋。僕はシングル。夜中、小夏が僕の部屋に遊びに来ることを祈った。
朝方まで起きていたが、小夏が僕の部屋を訪れることは無かった。そして朝。大阪観光の続きをしてから小夏達を駅で見送った。
残念だった。しかし、気分はスッキリしていた。僕はようやく気づいた。この気持ちは恋愛感情ではなく憧れだと。僕は小夏のファンになったのだ。それほど強く惹かれる女性と出会えたのは、占いをやっていたおかげだ。こういうことがあるから、路上に出るのはおもしろい。路上に出れば、いろいろなご縁がある。
そして、また僕は夜のミナミの路上にいるのだった。(もう、10年くらい路上には出ていないけれど)また、やろうかなぁ・・・。
路上占い、あれこれ⑧ 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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