愛と、孤独と、嘘と、、、、君

白い壁

愛と、孤独と、嘘と、君

 「夜ぅー!これ見ろよ!おもろすぎんだろ!」


 「ぶふっ!なんだよこれ!あははははぁ」


 わからない


「もう!夜ったら!また呑気に笑って!たまには真面目にしなさい!」


「母さんもずっと笑ってるじゃん!」


 真面目?どういうこと?


 中学校の頃、みんなと違って違う小学校から来た俺。

 必死に仲良くなろうとし、明るくて馬鹿な自分を演じていた。でも高校生になってから気付いた。皆、自分らしさを持ってるのに、俺にはない。明るいのが本当の自分?

 違う、それはいっときの演技だ。じゃあ、ずっと明るいやつを演じてきた俺にとっての自分らしさは?

 あぁ、もういい。ずっとこのままでいればいいじゃないか。そう思っていた。


 あの人が現れるまでは。


「君、何で隠すのかな?」

 同じ高校の一つ上の先輩、神在凛は俺が、放課後、友だちと話していたとき、急に喋りかけてきた。

「俺が?隠す?なにをっすか?」

 ヘラヘラしながら言った。どうせ他の人と一緒だ。そう思っていた。


 でも、違った。

 友達と別れたあと、またやって来て、


「あは!さっきは急にごめんね!私は神在凛。君は、、」


「小々馬夜っす。なんなんすか?急に。」

 チャラい口調で聞いた。


「いやぁ、なんで自分を隠すのかなってね!私、見ちゃったんだ。君が頑張って笑おうとしてるの。」


 そんなわけない。初対面の人に自分の本心がバレるわけない。俺はまたヘラヘラした口調で、


「隠すも何もこれが本当の自分っすよ?隠してる証拠でもあるんすか?あっはは」

 大丈夫。これが自分なんだ。そう言い聞かせていた矢先、彼女は問うた。


「じゃあ、」

             なぜ涙を流しているの?



 気づけば俺は涙を流していた。嬉しかった、気づいてもらえたことが。

 友達も、家族も、誰も分かってくれない辛さを、この人はわかってくれた。

 これまで我慢していた涙が一気に溢れた。


「ど、どうじて、、わ、分がったんでずか??」


 泣きじゃくりながら俺は聞いた。すると彼女は恥ずかしそうに言った。


「君と、、、、君と同じだったからだよ。だから君の気持ちは痛いほどわかる。」

 そして、ぎゅっと俺を抱きしめた。




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