ー1章ー 25話 ぬちゃ湯の奇跡と、癒やしのスライム
温泉が完成してから数日。
川の整備作業は続きつつも、トリア村とミズハ村の村人たちが温泉に訪れるようになっていた。
【村人A】「うぉ〜……染みるわぁ……!」
【村人B】「背中の痛みが少し和らいだ気がする……」
【村人C】「働いたあとの湯は最高だな……」
そんな中、いつものようにスライムたちが温泉周辺をぴょこぴょこと跳ね回っていた。
【リュウジ】「……スライムってさ、温泉も好きなんだな」
【タケト】「まあ、あいつらも珍しいものに興味があるんじゃないか?」
ふと見ると、例の緑スライムが湯けむりの中でぷるぷると揺れていた。
【リュウジ】「……おい、あれ……なんか、様子おかしくないか?」
緑スライムの身体が、ほんのりと光り始めたのだ。
ぷるぷる震えながら、お湯の中にチャポン……と飛び込み、ぷかぷか浮きながらぷるぷる震えている。
次第に緑スライムの周りのお湯が黄緑色に変化していく……。
【タケト】「え? え!? おい、溶けてんのか? 大丈夫か!?ってか入浴剤みたいな色してるぞ!?」
【緑スライム】「ぷにぃ〜……はぁ〜……きもちぃ〜……」
どうやら、ただリラックスしているだけらしい。
だが、その直後──
湯が輝いた。
【リュウジ】「……え? 今、光ったよな!?」
【タケト】「まさか、緑スライムのぬちゃ成分がお湯に混ざったとか……!?」
恐る恐る、お湯に手を浸けるリュウジ。 いつもより……ほんの少し、トロみが増している。
【リュウジ】「……なんか、指のキズ……治ってきてる……?」
【村人A】「あっ、あたしも腰の痛み、すっきりしてるかも……!」
【村人B】「なんだかお肌がスベスベしてきたわ!」
【リュウジ】「ま、まさかこの温泉、回復効果が付与されたのか……!?」
【緑スライム】「ふふ〜♪ お湯、ぬるぬるで気持ちいい〜♪」
どうやら、緑スライムが入浴したことで、 薬草成分を含んだ“ぬちゃぬちゃ”が温泉と融合。
癒やしの温泉が、超回復温泉に進化したらしい。
【タケト】「いやぁ、これはすげぇな。あのぬちゃぬちゃ……万能すぎるだろ!」
【リュウジ】「もうこれ、回復温泉として商売が成り立つレベルだぞ……」
そこに、どこからともなく現れた女王スライムが一言。
【女王スライム】「あらぁ〜、それいいわねぇ〜♪ お土産屋さんや、食べ物屋さんも必要よ~ぷるるん」
【リュウジ】「いやその発想、とこで覚えてきたんだ!?」
【リュウジ】(マスコット的にスライムがいたら、癒し効果抜群だな……商売イけるか!?)
【女王スライム】「イモだけじゃ温泉の魅力は伝わらないわよ~」
【リュウジ】「いやだから!ってまさか……女王、お前商売始めるつもりだろ………」
【女王スライム】「ぷるるん♪ヒミツよ~」
こうして、トリア村とミズハ村の中間に生まれた温泉は、人とスライムが一緒に癒される、奇跡の名湯として村人たちに親しまれていくことになる。
そして、この日を境に、“スライムと共に生きる村”という異名が、密かに広まり始めるのだった。
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