幕間 琴平舞衣はかく思う その6
「いつもと違うメンバーで勉強するのも新鮮で良いわね」
一緒に歩いている姫華が楽しそうにしているのを見て私は少し申し訳なくなってきた。
だって私が図書室を飛び出してしまったのは、善通寺くんと姫華が楽しそうに話しているのを見てなんだかモヤモヤしたからだ。
ほんとなんでこんな事しちゃったんだろ……
「舞衣どうかした?」
私が1人で反省していると姫華が心配そうにこちらを見てくる。ダメだちゃんとしないと!
「大丈夫だよ!ちょっと疲れただけだから」
「そう?ならいいんだけど」
「甘い物を飲めばすぐに復活するし!」
「何それ」
姫華が笑うのを見て私はホッと息をつく。
どうやら上手く誤魔化せたみたい。
そもそも姫華が善通寺くんに話しかける理由を知っているんだから、それでモヤモヤするのはおかしいんだよね。うん!あれは別に気にするような事じゃない!
そう自分に言い聞かせていると姫華が話かけてきた。
「それにしても私が思ってたより2人は仲が良いみたいね」
「そうかな?」
「ええ。お互い遠慮がない感じがするもの」
「まぁ確かにあんまり気は使わないかな」
そういえば善通寺くんと一緒にいるところを誰かに見られるのって初めてなんだよね。
他の人からだと私と善通寺くんてそういう風に見えるんだ。
「なんか嬉しそうじゃない?」
「え?そ、そんな事ないよ!」
「そう?顔がゆるんでるわよ」
姫華がそう言って笑うので私は慌てて自分の顔を触って確認する。そんな私を見て姫華はまた笑いだす。
「もう!からかわないでよ!」
「ごめんなさい。でも仲が良さそうに見えるのは本当よ」
「姫華こそ大屋冨くんと仲が良いじゃん!」
「確かに仲は良いけど…」
私の反撃に姫華は顔を赤くしてモジモジし始めた。何これ!めっちゃ可愛いんですけど!
まさに恋する乙女って感じでただでさえ可愛い姫華がもっと可愛いく見える。
「べ、別に私たちの事はいいでしょ!
ほら!早く飲み物買いに行くわよ!」
私の視線に気付いた姫華は歩く速度を早めてしまった。ちょっとやり過ぎちゃったかな。
私は慌てて姫華を追いかける。
「そういえば2人にしてしまったけど大丈夫だったかしら?」
「あぁどうなんだろう」
姫華に言われて気付いたけど確かに図書室には善通寺くんと大屋冨くんしかいない。
あの2人が話してるところなんて見たことがないんだよな。
「まぁ光秀なら人見知りしないから大丈夫だとは思うんだけど」
「うーん。善通寺くんも人見知りじゃないけどたまに変な事を言うからなぁ」
「そうなの?そんな風に見えないけど」
姫華が意外そうな顔をしているが騙されているだけなのだ。ほんと善通寺くんに何回恥ずかしい思いをさせられたことか!
「姫華には猫被ってるんじゃない?」
「へぇそういうタイプなんだ」
「そうだよ!私の扱いも雑な時があるし!」
そうだよ!何か私と姫華で対応が違うもん!
さっきも何か姫華にデレデレしてた気がする!
私が図書室での光景を思い出して善通寺くんに腹を立てていると
「それだけ舞衣に心を許してるんじゃない?」
姫華がそんな事を言ってきた。突然の事に私はポカンとしてしまう。
「さっき遠慮がないって言ったでしょ?舞衣に心を許してるからそうなるんじゃない」
「それならもう少し女の子らしく扱って欲しいんだけど!」
心を許してくれてるのは嬉しいけどそれとコレとは別の話じゃないかな!私だって女の子なんだからそれなりの対応をして欲しい!
「これは思ってた以上みたいね」
私は心の中で善通寺くんへの不満を言うのに夢中で姫華の呟きにもその意味にも気づかないのだった。
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新作になります。
完結目指して頑張ります。
ブックマーク、いいね、コメントしてもらえると嬉しいです。
宜しくお願いします!
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