第6話 やりたくない、絶対にやらない
名古屋の病院は自由な雰囲気が溢れていた。
先輩とか新卒とか関係なく、先輩なのに「ちゃん」付けだったし、婦長にも文句つけまくっていた。
カンファレンスは毎日あるのだが、私達は平気でとんでもない意見を言い散らかしていたが否定されることも無く、全く出来た人達の中でのびのび育ててもらったと思う。
医師も看護師を同僚として認めてくれていた、特に上の先生は看護師の意見を尊重してくれていた。
だから若造の医師がありえんだろ!って指示を出すと上の先生に言いつけて注意してもらってた。
そんなこんなで二年のお礼奉公は済んだので進学しようと思った。
今のままでは圧倒的に知識不足で患者さんの病気への理解ができないと痛切に感じていたからである。
大阪の同期から進学はこっちの進学コースに来るやろ?と言われ悩んだ挙句、当時父からの借金問題もあり一旦名古屋から逃げたい気持ちもあったので大阪の学校へと戻る事にした。
今度は全日制ではない、週の半分は朝から学校、残りの半分は病院で働く、勿論夜勤もある。
さて、どこの病院にしようか、悩んだ。堺の病院は大きくて仲のいい友達も残っていたが、名古屋の病院でバタバタの毎日でゆっくりと患者さんと向き合って来れなかったし、地域に密着したあまり病床数の多くない病院、東大阪の学生時代に実習でお世話にらなった病院に決めた。
そこは立て直していて綺麗になっていたし、実習当時の地域の人達の気さくさや病院との関係がラフな感じが忘れられなかったのだ。
しかし、これは失敗だった。
入学してみたら、教務の圧力は凄かった。私達はとにかく役員を避けた。自治会もやりたくない。クラス委員もやりたくない。
入学した人は年齢はバラバラ、経歴もバラバラ、子育てが終わり進学してきた人もいた。
こう言う人達は病院でバリバリ働いてた人達だから意見も言いたい放題。そひて役員も立候補してくれた。やったー!私達は万々歳である。
なよち、ある日、卒業生が教務に呼び出しを食らった。
「あんたら、何を考えてるの?卒業生なんやで。クラス委員やらなあかんやろ。クラスをまとめなあかんやないの!」
げー、皆んな沈黙。
「おしたしちゃん、あんたが長やり、自治会もやり。」
「嫌です。私は勉強したくて進学したんです。働きながら勉強するのは時間が足りないから。絶対に嫌です。」と反論した。
他の皆んなも嫌だと言ったので、教務は呆れ果てていた。
えーやん、やりたい人おんねんし。その人達がやったらええねん。んなもん、大変なの知らんから立候補しよんねんしな。
知らんわと思っていた。
しかしながら、病院に帰ると卒業生が師長や主任でヒラにもいっぱい。
「あんたら、なんで役員やらへんの?あかんやん!」の嵐。
なんで知ってんの?今なや個人情報駄々漏れで訴えたいところである。
そんな時に父から電話でお金貸してくれと言われて落ち込むようになっていた。
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