奴隷の十年を越えた力と笑いの冒険譚
- ★★★ Excellent!!!
<第1話を読んでのレビューです>
語り口は直截的で、筋肉の描写や行動がそのまま物語を駆動させています。舞台は奴隷国家「やしま」。十年に及ぶ拘束の末、少年は腕立てを積み重ね、そして壁をも粉砕する力で脱出します。展開は早く、説明よりも動作が優先され、読者は即座に主人公と同じ目線で外の世界に放り出される感覚を得ます。その速度感が、むしろ作品全体の特徴として印象を残します。
個人的に印象的だったのは、
「みこと:……ありがとう……んっ……ちょ!?ちょ!?ちょっと待って……!?うぷっ!……ぶはっーーー!!」
という場面。
深刻な設定の中で、唐突に挟まれる笑いが不意を突き、キャラクターの人間味を鮮やかに示しています。ただの「強い奴隷」ではなく、等身大の青年として彼を感じることができます。緊張と緩和があるからこそ、次に続く展開への期待が高まります。
場面転換の大胆さや台詞の勢いをそのまま受け入れると、この作品の持つエネルギーが一層鮮明に伝わってきます。