第10話

ドン、ドン、ドン

と勢いよく複数の花火が打ちあがる。


「もう少しで、終わっちゃうね。」


「そうだね。」


私達は花火から目を離さない。

でも、視界の端に映る君の気配にホッとしている自分がいる。


「私、会いたい。」


ぽつりと言葉が漏れた。


「毎日、会いたい。」


「僕も。」


色とりどりの花火が空を彩る。


スッと息を吸う。


「あのさ、私、大人になったら、社会人になって独り立ちしたら、

絶対ここに来る。それで、毎日会おう?」


「ふっ」


笑い声が聞こえた。

花火の光に照らされた君が笑う。


「それ、僕が言おうと思っていたこと。」


君が優しく笑らって、小指を差し出す。


「じゃあ、約束。」


子供の頃よりはるかにたくましい小指。

私はその指にそっと指を絡ませた。


予想よりずっとあたたかい手に

また心臓が揺れた。


「「指切りげんまん、嘘ついたらハリセンボンのーます!」」


指をほどいて、ふっと顔を見合わせて笑う。


大きな朝顔の花火が私たちの背後で打ち上がった。

・・






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