@Hachi_Ichi

一目惚れだった。

あなたの真っ直ぐとした目にやられた。しなやかに靡く黒髪から覗くその目線に、私は立っていることができなかった。

見惚れていると、目が語りかけてきた。

何をぼうっとしているの?早くそこに跪きなさい。頭を垂れて、従属を示しなさい。すべてを差し出せ。お前はもう人間じゃない。


その瞬間、私は周りの何もかもを認識できなくなった。現実にいたのに、今は違う。ここがどこなのか、今はいつなのか分からない。

そこには、ただ目があった。目は近くで私のことを見つめている。そしてその目線に私は気圧されていて、それが心地よかった。見つめられていると、私の身体は私のものではなくなった。

目は、語りかけてくる。あなたは敗者だと。あなたは愚かだと。あなたは惨めだと。私は、そのように罵倒されているのが心地よかった。


いつの間にか、私は現実の世界にいた。しかし、目だけは私を見つめている。天からか、背後からか、内側からかは分からないが、確かに私を見つめている。そうして、私は目の奴隷になった。目の支配を受け、目の赴くままに生活した。そんな生活を続けていると、私自身の目はなくなって、私の視界はその目から供給されていた。


目は言った。私の目に指を入れろ。私はそれを嫌がった。私の目、つまり私自身の目と置き換わった、あなたの目。私自身の目を失うことなどどうでもよかったし、痛みを感じることが嫌だったわけでもない。あなたの。絶対的な私の主様の目を、傷つけることなど許されない。

しかし目は何度もそれを命じた。命令に従わない私を罰し、またも命じた。何度も。


気づいたら、私はあなたに話しかけられた。

「私、あなたの想いには応えられないわ」


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