七面鳥

艸邑

七面鳥

オレの名前は滝沢。

あだ名はタッキーではなく"ターキー"。

かなり親しい人は七面鳥とも呼ばれる始末。

そんなオレこと、滝沢なんだが人生の正念場に立っている。

ボウリングで2回連続ストライクを出してしまった。

"ターキー"の名に恥じない見事なターキーを決めたい…

そんな思いが出てくるたびに心臓は高鳴り、緊張を帯びてくる。このまま帰ってしまいたいような。なんであだ名でこんな緊張しないといけないんだ、無性にイライラしてくる。

しかも、ターキーなんて1度もやったことがない。

ますます、"ターキー"と言うあだ名に苛立ちが募る。

「ターキー!次だよ。」

「ターキーだけに、ターキー行っちゃいな!」

「見てる方が緊張するわ!」


友達の声が聞こえて、やっと体が動き出す。

深呼吸をし、球の奥に見えるピンに狙いを定める。体の力が抜けて手から球が弾かれる。

まっすぐ転がった球は曲線を描き、闇に消えていった。ピンは残ったままだ。


「うわー!!」

「ターキー!!」

「マジかよー!!」


かなり恥ずかしい。顔が信じられないくらい熱く、燃えているようだ。

「ここでターキー出したら、ターキーすぎるもんね。」

「そうそう、ここで決めたらターキーがすぎるわ」


オレは耳を疑った。

『ターキーの由来ってなんなの?』

思わず聞いた。恥ずかしさなんてとうに消えていた。

「ターキーの由来?滝沢くんって誕生日とかお祝い事を真っ先に祝ってくれるじゃん。祝い事に出てくる七面鳥のターキーが滝に似てるから、ターキーって呼んでるよ。」

『なにそれ…』

意外すぎて言葉を失った。

「ターキー、初耳だった!言ったもんだと思ってたわ。」

「まぁ、今日はターキーの誕生日なんだし、俺たちがターキーのターキーになってやるよ〜

なんてねw」

良い友達に恵まれたオレは幸せ者だ。

これからもターキーとして祝わせていただきますね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

七面鳥 艸邑 @sorewanaiyo06

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ