第5話 運命の輪が回る夜
タイトル:占い師(イル・カルトマンテ)
第1章 - フォルトゥーナ
【第5話】 運命の輪が回る夜
【あらすじ】
幻想的なテントの中、グレート・セスとの対面。タロットの儀式が始まり、ロレンツォは運命の渦に巻き込まれていく。
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テントの中は、まさに「包み込むような」そして「魔術的な」空間だった。
真鍮の燭台に灯されたろうそくの火が揺れ動き、天井から吊られたランタンの光とともに、室内を金色の反射光と踊る影で満たしていた。
床には濃い赤と深い青の色彩を持つペルシャ絨毯が敷かれており、年月を感じさせるほどに擦り切れていた。その絨毯が外からの音を吸収し、室内を静寂で包み、どこか神聖な空気を醸し出していた。
中央には丸いテーブルが一つあり、黒いビロードの布がかかっていた。
その上には、数枚のタロットカードが散らされていた──表を向いているものもあれば、裏返しのままのものもあった。
ロレンツォは水晶玉のようなものを予想していたが、見当たらなかった。どうやら偉大なるセスには、それは必要ないらしい。
テーブルの奥には、背の高い背もたれの椅子があり、豪華な織物で覆われていた。手前側には、同じ布で包まれたスツールが置かれていた。
テントの一角には、分厚いカーテンがかかっており、その奥にさらに別の空間があることを示していた。
「グレート・セスはもうすぐ来るわ」
少女はロレンツォに笑顔を向けながら言った。「ここに座って」──そう言ってスツールを示した。
「きっと素敵な体験になると思う」
ロレンツォは腰を下ろした。思ったより、座り心地は悪くなかった。
「リラックスして」
彼女はそう言って、ロレンツォの額の上に手をかざした。触れはしなかったが、その手のひらからは体温が伝わるような距離だった。
「あなたは未来を知るためにここへ来たの。セスは素晴らしい人。最高の占い師よ。彼は魂を読み取ることができるの。知ってる? 私たちには身体があって、そして魂がある。魂は宇宙の力と結びついているのよ」
ロレンツォはうなずいた。
「すべてがうまくいくためには、あなた自身が心を開く必要があるわ。正直であること。解放されること」
彼女は一言一言に重みを乗せた。「ためらわず、恐れずに。彼の問いかけに答えて。カードがあなたの魂と宇宙の精神の橋になるから」
ロレンツォは彼女の瞳を見つめた。その瞳は大きく、淡い青だったが、室内の光の中では、時折ほとんど白く見えるほどだった。少しつり上がったその形、そしてそれを縁取る細い眉。彼女の声は、温かく、包み込むようだった。
そして──
突然、彼が現れた。
グレート・セス、占い師が。
分厚いカーテンが音を立ててかき分けられ、そこから彼は現れた。
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(続く)
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