何年かぶりの恋愛ってやつは、

伊吹 翼

ただのメル友のはずだった。

メル友。

懐かしい響き。


令和もはじまってもうすぐ2桁に手が届きそうなのに、メル友って。


自分でも引く。


でも、そうなのだ。

彼との出会いはメル友。


地の底のような所で出会って、なんとなく馬が合い、毎日馬鹿みたいに連絡を取り合った。

それこそ、暇な日は1日中。


すぐ飽きると思ってた。


相手も私も募集していたのはセフレ。

でもやってるのはメール。


私は関東。

相手は関西。


一生会わない。

だから気兼ねなく性癖の相談や、自分の恋愛観、結婚観、洗いざらい話した。


だって会うつもりないんだもん。

それでいい。


いいと思ってた。


ただのメル友。

高性能なAI。


いつかどっちかが突然居なくなって、それまでと同じ日常が来る。

終わるんだと思ってた。


終わってもいいと思ってた。

だってこれは、体のいい暇つぶしだと思っていたから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る