第13話 金髪翠眼のイロ…
コビア市の広場で、俺たちは持っていた大量の食糧を市民たちに配っていた。
「ありがとうございます! これで子供たちに、たくさん食べさせられます!」
「お姉ちゃん、ありがとう!」
「ありがたや、ありがたや!」
次々と感謝の言葉が飛び交い、俺の胸に温かいものが込み上げてくる。
そこへ、市長でもある伯爵が近づいてきた。
「ありがとう! 感謝の印として、今夜は我が家に招待したい。ぜひ夕食をご馳走させてくれ!」
そのまま俺たちは、豪奢な伯爵邸へと案内された。
晩餐会の大広間、長いテーブルの向こう側には、伯爵夫妻と美少女が並んでいる。
「紹介しよう。妻のメリンと、我が一人娘のイローナだ」
目の前に座っているのは、金髪翠眼の美少女。
柔らかな笑みを浮かべるイローナは、まさに貴族のお嬢様といった雰囲気だった。
「クレイシアです」
「セリナですっ!」
「わしは、オル爺だ!」
「……ルリトです」
「さあ、料理を持ってこさせよう。……アレを頼む」
運ばれてきたのは――
「う、鰻重……!?」
漆塗りの重箱を開くと、照りのあるタレと焼き目がついた鰻が、白いご飯の上にどっしりと乗っている。
「知っていたか。このウナギはコビア市の名産品だ。なかなか美味いぞ」
伯爵の説明を完全に無視して、俺は一心不乱にかき込んでいた。
「ク、クレイシア様! む、無視はマズいですよっ」
ルリトが焦っているが、無理なものは無理だ。
だって、鰻重だぞ?
何年ぶりの再会だと思ってるんだ。
ひと息に平らげると、イローナがクスクスと笑った。
「アハハッ、ごめんなさい。見た目とのギャップが面白くて……」
その隣で伯爵夫妻がフリーズしていた。
(やってしまった……!)
「伯爵様、すまんな。クレイシアは、ときどきおかしくなるんだ」
(オル爺の方がよっぽどおかしいよ!)
「「ウナギは、美味しかっただろ(でしょ)?」」
「なつ……とても美味しかったです!」
「今日は泊まっていってくれ! 明日は、イローナに市内を案内させよう」
俺たちは、部屋に案内されて、男女に分かれて入った。
そして、今俺は、大浴場にいる。
大理石の床に金色のウナギの壁画まで描かれている洋風? の大浴場だった。
(隣には、セリナがいるが広すぎるだろ! 伯爵金持ちだな)
そこへ、ガラリと戸が開いて――イローナが現れた。
バスタオル姿の彼女は、着やせするのか巨乳だった、イローナだけに色気がすごいな。
恥ずかしそうに、こちらへゆっくりと歩み寄ってくるイローナの胸は揺れていた。
(エロ過ぎるだろ!)
「年の近い人と一緒に過ごすことがなくて、こういうのに……憧れてたんです」
(ヤバい……この子、可愛すぎる!)
「わかるよ! ワクワクするよね!」
隣でセリナが満面の笑みで呟く。
イローナは照れながらも胸を揺らして笑った。
(揺らすな、エロ過ぎるだろ!)
「しばらくお世話になるね。よろしく!」
俺がそう言うと、イローナは嬉しそうに、満面の笑顔を見せて、また胸を揺らした。
(だから、揺らすなぁぁ! それは、わざとなのか!?)
その夜、寝る為に寝室に入ると、ドデカいベッドが一つだけ置いてあった。
(デジャヴかよ!)
三人で仲良くベッドに入ったが、なぜ俺が真ん中なんだ?
しかも、左右からセリナとイローナが腕と足を絡ませてくる。
(少しずつ、俺のHPが、削られていく……!)
ウヨンツラ低湿地帯――
怪しい集団は、人間の血を使って、魔法陣を描いていた。
「クククッ! よし! これで完成したぞ!」
「ハハハッ! ザピステキネルロス……デスガロンサモン――パープルダイショウ!」
シュルルルッ! シュルルルッ! シュルルルッ!
魔法陣が光って、そこから、たくさんの紫色のヘビが湧き出てくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます