第2話

 スバルが帰宅すると、速水沙耶は意外そうな表情を浮かべた。あんなにしつこく絡んできた彼女が、自分の一言であっさりと引き下がるなんて、思いもしなかったからだ。


 翌日、沙耶は図書館の整理をしていた。重い本の箱を運ぶのに苦労していると、後ろから現れたスバルが箱を代わりに持ってくれた。


 「必要なら言うので、無駄なことはしないでください。この程度なら全然大変じゃありませんから」と沙耶は言った。


 それに対して、スバルは笑いながら答えた。


「そこは正直に『ありがとう』だろ」

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