第2話 再会は悲劇の気配と共に



 そんなメイアズがグラシスと再会するのは、一週間後の事だ。


 住んでいる街での死亡者や行方不明になる人の数が減った頃、メイアズは人気のない路地に向かっていた。


「それでもキャシーは行方不明のままだから、心配だわ」


 独り言を言うメイアズの腕には、小さな生き物。


 迷子になっていた犬の首輪を見て、そこに書かれていた住所の家へ送り届けようとした時の事だった。


 抱えていた犬がうなりだし、メイアズは本能的な危険を察知。


 彼女の体に悪寒が走った。


 引き返すべきかと悩んだが、時すでに遅かった。


 メイアズの目の前に、またデモンズというらしい怪物が現れたのだ。


「うまそうな匂いダナ。お前、特別な人間。血が美味しそうダ」


 最初に出会ったデモンズは喋れなかったにもかかわらず、そのデモンズは人語を話した。


 何が違うのかは分からなかったが、メイアズは肌で感じていた。


 今日あったデモンズの方が圧倒的に強いと。


 身構えるメイアズは、怪物を見て悲鳴を上げる。


 なぜなら、怪物の体に複数の人間の顔がくっついていたからだ。


 その中には、行方不明の同僚であったキャシーの顔もあった。


「そんな、キャシー!」


 この怪物の犠牲者になったのは、一目瞭然だった。


 愕然としているメイアズは、怪物を睨みつける。


「キャシーを返して。どうしてこんなひどいことを」

「どうシテ? うまいメシをくうのに、理由がいるノカ?」

「ーー!」


 メイアズは恐怖を抱く対象のデモンズに、初めて怒りの感情を抱いた。


 しかし、メイアズは非力な人間で、怪物を倒すどころか、その場から逃げることすらあやしい。


 彼女は自分の非力さを呪った。


 そこに、グラシスがやってくる。


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