デスゲームでなく幸福を求めるライブゲーム……死刑囚は幸福を掴めるか⁈
- ★★★ Excellent!!!
デスゲームと言えば、数々の名作があります……小説、漫画、映画……皆様の脳内で名作が駆け巡っているのでは、ないでしょうか?
しかし、本作は、従来のデスゲームではない! デスゲームの真逆を突っ走る、幸福を追い求めるライブゲームです。
ゲームの場で全ての人々を幸せにしていく! 殺すのではなく、幸せにする!
人を殺す行為と人を幸せにする行為のどちらが難しいでしょうか? 人を憎む行為と人を思いやる行為のどちらが難しいでしょうか?
賛否両論あるかと思いますが、憎しみの末に殺し合うよりも、他者を思いやり利他的な行為を実行するほうが、難しいと思います。
本作では、人々を助けるためのゲームが繰り広げられます。デスゲームよりも、ライブゲームのほうが難易度が高いと思いました。
物語の要となる主人公は……なんと死刑囚!
ライブゲームを潜り抜いていく人物は、"人を殺した人間"です。しかし、主人公は、誰よりも懸命に、人々を助けようとします。
何故、必死になって、殺人経験がある死刑囚が、人々の幸福を願うのか?
物語を読み進めると、主人公の過去が垣間見えてきます。何故、主人公が人を助けようとするか、過去から答えが導き出されていきます。
ゲームステージごとに現れる登場人物たちも、印象に残ります。幸せを失っていた人々。幸せを失う理由の多様さに、胸が痛くなります。幸せを失う理由が、現代社会に通じるため、他の登場人物への共感が増します。
ゲームの設定も興味をそそります。誰もが一度は聞いた経験があるのではないかと思う、究極の心理問題が具現化されています。なるほど、こういった解決方法があったのか、と作者様の発想力に驚嘆しました。
いったい、主人公の過去に何が起きたのか⁈
主人公は過去を塗り替えられるのか⁈
私の好奇心はうずいたままです。先の展開を楽しみにしています。