サンダーボルト
鏖(みなごろし)
サンダーボルト
俺はドラッグディーラーをしている。
組織の中で仕事をしているわけだが、
大体、いつも一人で取引きをしていた。
だが、取引きもデカイブツを扱うようになってからは、
相棒がつくことになった。
頭が良く、若く、何より銃の扱いが上手い。
いつか、情報がリークされて、警官と撃ち合いになった時、
相棒は俺の盾になり肩を撃たれたが、
撃ってきた警官を撃ち殺した。
もう2年の付き合いになる。
「横浜でデカイヤマがある、お前ら二人でやれ」
そう上に言われ、俺たちはいつものように現場に向かった。
この仕事は何年やっても取引き当日は緊張する。
現場に着くといつもの組織の連中がいる。
こんな裏の世界に生きてきて言うのもなんだが、
信頼は大事だ。
この組織は信頼できる。
いつものように金を差し出し、
ブツを受け取る。
その時だ。
けたたましいサイレンがなった。
一瞬で警官隊に俺たちは囲まれた。
そして聞き覚えのある声が後ろからした。
「手を挙げろ」
そう言って振り向くと、俺の相棒が俺に銃を向けている。
「2年待った」と相棒。
「潜入捜査官、か…、」と俺。
「撃ちたくない、大人しくしろ」と相棒。
「お前、2年前、警官撃ち殺したろ」と俺。
「あれは芝居だ。防弾チョッキを着ていたしな」と相棒。
「そうか、」と俺。
そして俺は走り出した。
「止まれ!」と相棒は言って、一発威嚇射撃をした。
俺は止まらなかった。相棒は俺の足を撃った。
俺は転げ回り、地べたに這いつくばった。
相棒は近づいてきた。
俺は咄嗟に銃を取り、相棒に向けた。
相棒も銃を俺に向けながらこちらに向かって来る。
睨み合いになる。
俺は撃った。
外れた。
相棒は引き金を引いた。
俺の胸を弾は撃ち抜いた。
相棒が走ってきて俺を抱き上げた。
「俺はもう疲れた…、」俺は目の前が暗くなって来た。
相棒がキツく俺を抱きしめた、ん?コイツ、泣いているのか?
もう分からない…、
俺は死んだ。
数日後、潜入捜査官は上司に呼ばれた。
「アイツも潜入捜査官だった」
「えっ!」
「気にするな、我々も聞かされていなかったから、しょうがない」
「死んだんですよ!それも俺が…、」
「あんなデカイヤマを解決するには多少の犠牲は必要だろう。それにもう、アイツの警察官としてのキャリアは抹消してある」
潜入捜査官は落胆した気持ちを表に出さず、上司の部屋を出ようとした。
すると上司が口を開いた。
「次のミッションがある」
潜入捜査官は振り向き
吐き捨てるように言った。
「墓参りの後でその話は伺います」
そして潜入捜査官は上司の部屋を出て行った。
終。
サンダーボルト 鏖(みなごろし) @minagorohsi
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