ルミナス・オレンジローズ学園
鈴城ねこは
1時間目
「ぇええええっ、やばーーーっ!!!」
うち__れなは、ルミナス・オレンジローズ学園1年生の、ちょーーそこそこ魔女だよーっ!!
成績?そこそこ。でもギャル魂はさいっきょ〜!な、はず。うん。
多分綺麗な金髪に、艶のあるラベンダーメッシュを高くポニテにしているところとつり目が私のチャームポイントだ。
………てゆーか、自己紹介してる場合じゃなかった!ガチ目にヤバすぎて草生える!!!
さっきからリンリンなり続けている目覚まし時計。
そう、今私はまさに!!ちこくしちゃいそーなのーーー!!!!!
なんなんもーっ!?ギャルとしてヘアセットに20分は…かかんないか、1分くらいだけど………
やっばぁあああああい!!成績下がっちゃう……。
朝の静かな青空と深緑の森とは裏腹に、私はあせあせしていた。
というわけで、大急ぎで準備をして食パン口につめこんで、れなはルミナス・オレンジローズ学園へと向かったのでした。
⭐︎🌹⭐︎
『きーーーんこーーーーんかーーーーん』
「おっはよぉおおおおおおごっざいまああああっっす!!」
なんとかギリギリで滑り込みセーフ。
バンっとあけはなたれた人工的な緑色のドアからは、妙な静けさが漏れてくる。
視線が痛い。
…冗談で、ギャルとして視線はご褒美みたいなもの。
…冗談で、やっぱり痛い。
ここは、私立ルミナス・オレンジローズ学園。
人間界でいうと中学校の役割で、基本は魔女や魔法使い専用の学園だ。造りはほとんど変わらない。たまーに、獣人や普通の人間が紛れ込んでいるが、人間界では外国人のような扱い。
ここで、数学や国語、時々魔法に関する授業をする。首席は発表されないが、もちろん成績はつけられるのでそれによって将来が決まってくる。
そんなこんなで、チャイムがなり終わると減点なので、私は油断せずに後ろの黒板前あたりの席にいそいそと座りに行く。
「れな、おはよう。はやく」
親友、黒髪おさげといういかにも優等生ポジのゆのはこんな時でも挨拶してくれるんだなぁ…
じんわり感動で一瞬行動が遅れた私をみんながあざ笑う。くすくすくす……。
一方私はそんなものはお構いなしに、鞄を机の下に隠してピシッと以上なほどに背筋を伸ばす。
と、ここでチャイムが鳴り終わる。
10秒間戦争、とでも言っていいだろうか。
この10秒間の間に私の情緒はジェットコースター、いや、エベレストから落ちていたんだから…。
⭐︎🌹⭐︎
学校の、バラが湿ったような匂いはやっぱり落ち着く。
午前の授業が終わり、昼休み。
匂いを感じるのもつかのま、すぐに美味しそうな匂いが漂い始める。
ここでは、寮の食堂で食べるか食堂でお弁当を作って食べるか選べるという、すんばらっしぃ制度がある。
私はもちろん食堂派。
やっぱし、美味しいものは作りたての方が美味しいし、なんといっても映える!
一応、私は学園の中でも結構人気があるのだ。
ここの学園の寮は、3つに分かれている。
私、まぁまぁ問題児のれなは、自由奔放でマイペースな人がたくさん居る黒猫塔に住んでいる。
そして優等生だけど私と一緒にいるせいで成績ガタ落ちさせちゃっているゆの(めっちゃ申し訳ない)は、大人しめな人がたくさんいる三日月塔。
最後に、ミステリアスな不思議ちゃんがたくさんいる星空塔。
入ってはいけない寮とかはないけど、星空塔はそもそも行く意味がないから10回くらいしか行ったことはない。
でもゆのによると「10回でもだいぶん行った方だと思うよ…」と言われたので、やっぱり私ってフレンドリーだなぁと思う。
あ、別に寮の名前全部覚えろって訳じゃないんだけど。
そんなこんなで、寮の入り口についた私。いかにも魔法学園って感じの綺麗な黒い扉がある玄関で、私の心は毎日のように踊る。
学生証をかざし、止まることなくスマートにスルー。
うわぁ、やっぱ私ってかっちょいー!
「あ、ラズっちじゃーん!おっはー」
「あっ、れなぁ!昼ごはん?うちも一緒に食べよっかなぁ?」
「なんでラズも来るのさ。椅子足りないだろ」
微笑ましすぎるテンポのいいやりとりに、私の口が緩む。
この黒髪をストレートに伸ばしたお姉さんは、黒猫塔の寮母さんのビオラ・ラズリ。通称ラズっち。
お姉ちゃんみたいな感じだけど、怒る時は普通に怒る。
怒るというか、注意する感じ。年齢は公開してないけど30代未満ってのは確実って言ってた。高校生でもありえるかもしれない…。
そしてこっちの黒髪に色んな色のメッシュのハーフツインの子は、私の第二の親友、るる。つまり、私とゆのとるる3人でグループ化している感じ。
今日もつり目が決まってるぅ!
るるは厳し目なところもあるし授業中はずっと寝てるけど、なんやかんや頼れる。
「ちょ、そこー。通れないんですけどー?」
どうやら私たちは入り口でずっとぺちゃくちゃ喋っていたみたい。自覚なし⭐︎
「ぎゃぁー!?ごめんすぐどくぅー!!!!」
ラズっちは寮の全員を覚えている。100人くらいいるのに…
「てゆーか、私食べにきたんだ!!昼休み終わっちゃうんだけど、ガチで!」
「れながぼけてるからだろ。その前にまだ昼休み30分あるじゃねぇか…。ほら、さっさと行くぞ」
「えぇ〜?るるも結構喋ってた気するんだけどな…?」
そんなことを言いながらも私たちの足は綺麗なフローリングの廊下をとことこ歩いている。ラズっちは知らない間にどこかへ行ってしまっていた。
つーか、何度見ても、この寮ガチ綺麗じゃね⁉︎
部屋の中も、綺麗に光が差し込んでくる窓や明るさを調節できて飛ぶライトなど、色々便利(?)なものがそろっている。
そんなこんなで[食堂]と書かれたプレートの前で立ち止まる。
「今日なにすんの?」
「気分による」
照明でガンガンに照らされた食堂内で早速一番手前の席に座り、メニューをじろじろ見ることもなく夕焼けケチャップのハンバーグを注文。
この中学にきて寮に入り、半年くらい経ったからメニューも全て覚えた。
一方、るるは昼ごはん抜きが多かったので、いまだに新鮮そうな目でメニューを眺めている。まぁ、毎日レストランみたいなものだもんなぁ。
それにしても…と私は椅子をながめ、くるくる回転する。古そうなアンティーク調の椅子だけれど、実は回転式だし全然キーキー音も鳴らない。
寮母さんがあんなこともあって、黒猫塔は全然家具の雰囲気が揃えられていないのである。多分、ほとんど中古。
まあ、そんなところが魅力でもあるのかな…?
そうこうしてるると喋っているうちに、髪の毛をくるくる巻いたお姉さんがトレーを持ってこちらにやってくる。
「れなさん、るるさん、お待たせしましたーっ!夕焼けケチャップのハンバーグと、大木色カレーです!じゃんけんぽん!あら勝った。雑魚ですね♡」
「ははは、お前今日はじゃんけんなのかよ」
「毎日ゲームは変えているつもりですが、やっぱりネタが切れるんですよねぇ」
「え、ちょーメタいんだけど〜!指スマやら寸止めやらやってるおこちゃまがなに漫画家気取りなの」
こんなふうに、黒猫塔の生徒はかなーり変わっている、らしい。
トレーを机に置いてもらうと、鼻に薄ピンクの匂いが絡みつく。やっぱりこの匂いは多分全世界共通!だよね!!
この夕焼けケチャップハンバーグは、めっっっちゃ絶品!
柔らかいツヤのあるオレンジ色のケチャップと、重すぎない茶色のふわふわしたハンバーグのセットは最強!
私は胸からオレンジ色のジュエルが埋め込まれたブローチを外し、ハンバーグにかざす。
このブローチは、でっかいゴキちゃんサイズながらも通信連絡検索撮影色々できる優れもの!
入学する前の道具で言うと、スマホみたいな感じ。
ぱしゃっと妙に気持ちいいけどまぁまぁ耳障りな音がする。
よし、今日も爆盛れでアップしちゃいますか〜!
ブローチだけで操作となると不便なところもあるが、ホログラムで色々うつしてくれるので、大半は問題ない。
「おい、れな。早く食べろよ。冷めるぞ」
「はーっ⁉︎逆に、早く撮らないと冷めるんですー」
そんなことを言っているるるは、もう5分の4食べ終えている。
やっべ!散々喋って残したら、がちシャレになんない!
「いっ、いただきまーす!」
「あっ…言うの忘れてた。れなは偉いよな。いただきます、そしてごちそうさま」
「え、それマジで遅い‼︎初めて見たそんな人ー!」
わちゃわちゃしながらも、なんやかんや私の生活は続いていく。
危機が迫っていることを、知らずに____
⭐︎🌹⭐︎
「げそーっ。まじ満腹すぎてやばいーー」
「だ、大丈夫?次実戦訓練だよ」
明るい茶色の上にごろーんと上半身を投げ出す私をゆのがさすさすしてくれている。いつもながら、ゆのは私を支えてくれている。
まじ、神。神の権化、いや、神。
頭の片隅でそんなことを思いながら、私の意識は次の実践訓練でいっぱいだった。さすさすさせておいて悪いとは思うが、満腹とは別のことを考える。
この学園はA〜Mランクに分かれており、私とゆのとるるはFランク。実力はそこそこってところだ。
普通の授業は人間界とそこまで変わらないものの、最後の授業は実践訓練という授業になる。
それがランク上げのキモ!
2人1ペアで本気の魔法で戦う。
成績の半分が実戦訓練でつけられるから、頑張らないとな。
そんなことは考えているものの、お腹の中に悪魔がいるように動かない。
食べすぎて重いよーー。うーーん。
クラスは誰かに深く干渉することなく、干渉ゼロでもなく、みんながほどほどに仲が良い。もちろんいじめなどもなく、仲間はずれなんて遠い星の話。
まぁ、るるは、ずっと寝てるけど人気者だからぼっちってことじゃないだろう。昼休み以外は寝ている気がするのは気のせいだろうしね、うん。
とにかく、Fランクは平和だということだ。Aランクになってくるとお互いに落とし合おうと必死らしい。
私の目標はAランクトップでもあるけど、貶し合い騙し合いのAランクになんて行きたくない。私が革命を起こして、みんな笑顔で暮らしたいと思っている。
まあ、そのためにはランクを上げなきゃなんだけど。
ピンでばちばちにデコられた前髪を指に絡めてくりくりいじりながら、私の思考はいろいろなところを巡る。
明日の昼ごはんはなににしようかな。
寮の地下室には、なにがあるんだろ。立ち入り禁止って言ってるけど、閉鎖しないのまじイミフ。
実戦訓練、誰とペア組もうかな。ゆのとるるはたくさん組んだし、あの子は魔法の相性が悪いしな。
私は、よく頭で考えるより先に動いちゃうタイプと言われるのだがこうやって考えることも大好き。
時々空想モードに入っちゃうこともある。最近は、コントロールが出来てきたけど。
動くのは時間を使うけど、空想には時間はあんまりかからない。
でも、終わりももちろんやってくる。
くぃーーーんこおおおおおんかぁあああんこぉおーーーん。
厳かなチャイムが学園全体に響き渡ると、クラスの中はしんと静まり返る。この瞬間に、なんとも言えない神秘さを感じるのは私だけだろうか。
「はい、ではペアを組んでください。」
開始早々、間髪を容れず先生はペア組みの通知をする。
「ねーねーゆのちゃん、一緒に組まない?」
「あ、いいの?嬉しいな、ありがとう」
「おいるるぅー、起きろよー!俺、今日こそお前に勝つ!」
「wお前、凝りねぇな
ゆのもるるも、すぐにペアが決まる。
私は人気者っちゃ人気者だけど、人気者すぎてもうみんなと一回は組んだ。え、ガチやばない?Fランクは奇数なので、あまり物が出るわけだ。
⭐︎🌹⭐︎
「よ、よろしくお願い…します?私、れな!マジ初めてだよね?緊張するけど本気出して戦うよーっっ!!」
「よろしくお願いします。服、すっっごい可愛いです!じゅり、です」
無事、あまり物になりましたっ⭐︎
Mランクで余り物になっていた、じゅりって子と戦うことになった。Fランクの私にMランクは雑魚以下だ。
とほほとした私の気持ちをよみとったのか、じゅりは頼りなさそうにくすっと笑った。
無造作におろした黒髪と、整った顔はかなりかっこいい。特に、肌のキメが細かい。
一瞬一瞬が、え、ドラマ撮影ですか?というほどおしとやかでおおざっぱだ。なんとも言えない不思議な雰囲気をしている。
まるで、星空の中の太陽のようで__青空の中の、月のような。異色な存在に、足が少しすくむ。
「では、ようい…はじめっ!」
ガッ。
私とじゅりは、先頭の姿勢に構える。緊張感が糸のようにぴんと張り詰める中、他のペアから戦闘音が聞こえてくる。しかし私たちは一歩も動かないまま。
(相手が仕掛けて来なかったら、罠かもしれない)
ラズっち、助言ありがとう。じゃあ、突っ込むまでだねー!!
ラズっちの助言が蘇り、私は素早く動き始める。
まず、この体育館の端っこから端っこまでの距離をとにかくつめる。私の魔法は、遠くまでは届かないから…。
私はこの7秒台の走りを生かして、思いっきり走る。相手はいまだに動かず硬直したまま。
一気に、つめる。
あと5メートルの距離、ここなら届く!
「はぁあああああーーーっっ!!」
私の大きなかけ声とともに、紫色の炎がじゅりに向かって一直線に飛んでいく。しかし、私の魔法はスピードが遅いので、多分避けられる…。
えっ!?
じゅりは避けずにそのまま攻撃を受けた。でもあんまりダメージは入ってなさそう…?
「じゅ、じゅり?避けないの??」
私は、限界までじゅりに近づく。(キスとかじゃないよ)
どれだけ話しかけてもじゅりは直立不動で、なにも喋らない。私はそろそろ不安になり、じゅりのうでを触る。
その時、じゅりの目が変わった。
もともと綺麗な白色の目をしていたのだが、黒いぐるぐるが渦を巻いている。
「じゅ、じゅり、その目…」
指摘しようとしてじゅりの目をじっと見つめると、吸い込まれそうな気持ちになってくる。
そのまま、目を離さずにずっと見つめていると、意識がふわふわしてきて、眠気が襲ってくる。
光が肌の下と神経を舐め回して絡めてくる気持ちに快感を覚えたのは何秒前だろうか。
そのまま、私はなにも出来ずにじゅりの前で固まっていたが、急激な眠気が一気に襲ってきたのでひざがふわりと崩れる_____
そのまま、私の意識はじゅりの目に吸い込まれていったのだった。
⭐︎🌹⭐︎
まだ日は沈みそうもない、午後3時。学園は騒がしかった。
「れなーーー、れなーーーー!?いたら返事して。聞こえてたらどこかを叩いて!」
「おい、れな!!どこだよ。出てこいよ!!」
れながいなくなったことで、生徒たちは寮に帰れなくなった。もちろん、れなを探すためだ。
れながそんなにVIPという訳でもないが、学園は一人一人を大切にすることを掲げているので一人いなくなると大騒動になる。
しかし、そうといってもれなを知らない人はいないので、みんなの顔には不安が浮かんでいた。どれだけ笑顔に見えても、不安がちらつくかおをしているのは明らかだ。
_______ただ一人、じゅりを除いて。
⭐︎🌹⭐︎
「じゅりさん、実戦訓練中に変わったところはありませんでしたか?」
「……特に。なにも。強かったです、負けました」
「…そうですかぁ…」
眠い。
ふわふわとした意識の中で、こんな会話を聞いた気がする…。なにも見えなかったけど。
なにが起きているのか、いまいち理解できない。
じゅりと実戦訓練で戦っていて…じゅりの目がおかしくなって…それで…。たしか、強い光を見たような?
強い光…強い光…そうだ!じゅりのブローチが、オレンジ色のジュエルなのに白に光ってた気がする。
それで……
必死に考えていると、また眠気が襲ってくる。まぶたがマグロの大トロようにだんだん重くなっていって…
⭐︎🌹⭐︎
れなが行方不明になり、わたし_るるの昼寝時間が無くなってしまった。でも、今はそんなことを考える暇もない。
私がカップラーメンの麺だとしたら、れなとゆのはお湯。かっちかちの私をほぐしてくれる、唯一の親友だから。
れなを探さないと…!
とりま、怪しいやつはやっぱりじゅりかラズだよな。最後に接触があったのはじゅりだから_____。
「すんませーん。れな探しに来ましたーーー」
私は、星空塔にあるじゅりの部屋に来ていた。学園内で探しているので、寮はれなを監禁するのに最適な場所だろう。
さすがに勝手に入るのはあれなので、事前にじゅりと同室の生徒に許可をもらってきた。一応、誰もいない部屋に向かって挨拶をしておく。
キィイイイイイイ……
「随分と古そうなドアだな…?塔ごとに家具は違うが、ここまでか…?」
おそるおそる、部屋に上がる。
グレーの部屋に、シンプルな白いベッドとごく普通の勉強机だけ。私とれなの部屋に比べると、超がつくほどの殺風景だ。じゅりの趣味だろうか。
照明がついておらず、暗くて前が見えづらい。唯一の光源は、ドアから差し込んでくる光だけだ。ドアは、カップラーメンを少しだけ開けて光をぱあっと差し込ませるような役割をしている。
とにかく、目に入るところには人を隠せそうな場所はなかった。
「‥‥ハズレ、か?」
許可までもらって収穫なしだとさすがに嫌なので、ベッドの下など細かいところを探すことにした。ベッドの下、机の中。超殺風景なので、探すところが少ない。
結局、何もなかった。
しかしじゅりは底知れないやつだと私の直感が告げていたので、もう一度部屋の中を見渡す。
そこで私は、気づいた。
このへやには、「窓」が無い……!初めから気づくべきだったが、寮は造りが全て同じ。私たちの部屋には窓があるにもかかわらず、ここは真っ暗だ。
「……それが、れなに繋がるかは微妙だが」
窓がない=れながこの部屋にいるという訳ではないからな。なにか理由があるのかもしれない。
しかし、眩しいからや花粉症という理由だけで窓を取り外す、埋めるなどといった工事をするとは考えにくい。カーテンをしたり窓を閉めたらいいだけの話だ。
では、なぜ窓がないのか?
よく考えた末、私はあるひとつの答えに辿り着いた。簡単かもしれないが、私は暗記は得意だがこういう自分で考えるのが苦手だからしょうがないとしておこう。
この部屋には窓がないのではなく、見えないんだ。
なぜなら、手前を壁で覆い、隙間にスペースを作っているから。カップラーメンの底が窓だとすると、その上を麺で覆っている。そして、麺の下にスペースがある。そこに、お湯を注ぐ……というトリックだ。
そしてこの場合、お湯になるのは_____
ガンッ、ガンッ。どぉおおおおおおおおおんっ。ばっきぃいいいいいいいん……
自称、パンチグレー帯(?)の私はこんな壁を破ることなんてカップラーメン3分と同じようなことだ。案の定、壁はすぐに真ん中に穴が空いた。
「お湯……じゃなくて、れな!!!れな、いるのか!?」
確かめようにも、部屋が真っ暗なのですぐに確かめられない。
スペースは、思っていたよりも狭かった。人一人が体を横にしてやっと入れるくらい。
穴はギリギリ通れるくらいだ。ぐいぐいぐいぐいぐいぐいぐいぐい体を押し込むが、どうしても時間がかかってしまう。
ガンッ
「いつっ」
壁に頭をぶつけながらも、なんとかスペースに入り込めた私。ほっとしている暇もなく、すぐに右に足を進める。
ほっぺが、のびたカップラーメンの麺のようにぐにぐにになりながらも、れなを探して突き進む。
普段ならめんどくさくてこんなことはカップラーメンがハンバーグになってもやらなかったが、今は大事な大事な親友(お湯)を探すために無我夢中で行動している。少し誇らしい。
しかし、だいぶ進んだが普通にスペースが続いているだけだ。もうすぐ突き当たりになるだろう。
アニメでよくあるが、こういう時は最後の最後に出てくるんだ。私はそう言い聞かせて、顔の痛みをこらえながらのそのそ進む。
___その時だった。
ごろん。
「ひっ」
私の足に、なにか重たいものがあたった。横向きのカップラーメンのように、私が当たったことでごろりと向きが変わる。
硬いというよりかは、柔らかい。その柔らかいなかに、なにか硬いものがあり、それが柔らかいものを支えているような感じだ。
……回りくどいが、=骨と肌、だろう。
「げほっ」
下を向こうとする私を、狭い狭い壁が邪魔をしてくる。唇は今、▷のようにすごく奇妙な形になっているだろう。
頑張って頑張って、やっと私は下を向くことが出来た。
「………‼︎」
そこには、多分今私が一番見たくない光景が広がっていた。
そこに、横たわっている。
ふわりと柔らかく、それでいてしっかりと意識を失っているゆのだった。
⭐︎🌹あとがき🌹⭐︎
あとがきって1話1話いれていいのか分かりませんでしたが、結局いれちゃいました(笑)
初投稿で、とても緊張しています…!展開が急だし、ボケというかるるの癖?全然面白くないし、キャラや設定一気に登場しすぎてて覚えにくいし……。(全部覚えなくても全然いいんですけどね⁉︎)
でも、なんやかんや書くのが楽しかったので全部OK!面白いと思ったら♡やコメントもよろしくお願いします。こんな小説でも、読んでくださったあなた。感謝感激です、ありがとうございます!
ルミナス・オレンジローズ学園 鈴城ねこは @Piguko
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