第十六話「迷いの年の差、でも——」
——あの子、どうしてこんなに気になるんだろう。
北山さん。
隣に越してきてから、毎日のように顔を合わせる。
22歳。私より一回り以上年下。
普段は「女子高生が一番!」なんて口にする、呆れるくらいの子。
……なのに。
仕事帰りに廊下で会うと、必ず「お疲れさまです」って笑ってくれる。
買い物袋を持っていると、自然に「持ちますよ」って手を伸ばしてくれる。
元夫と鉢合わせてしまった夜も、真っ先に庇ってくれた。
——不思議。
彼に優しくされるたび、心が少しずつ揺れる。
でも、考えてしまう。
私は38歳、バツイチ。
彼から見たら、ただのおばさんだろうって。
年齢も、過去も、すべてが足かせに思えて。
*
そんな夜。
玄関先で鍵を落としたとき、彼が拾って差し出してくれた。
「大丈夫ですか?」
「ええ……ありがとう」
ただそれだけのことなのに、胸が熱くなる。
優しい。
きっと彼は、誰にでもそうなんだろう。
でも、私には——特別に感じてしまう。
(……ダメね。こんなの、勘違いよ)
そう自分に言い聞かせながらも。
視線の先の彼が笑うと、どうしても心臓が早鐘を打つ。
*
その夜、布団に横になって思った。
——もしも、この迷いを越えられたら。
隣にいる彼は、私にとってどんな存在になるんだろう。
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