第2話 スイーツみたいに甘く



晴人のおすすめのカフェのパンケーキは、本当に美味しかった。

フルーツがたくさん乗ったものもあったけれど、ひなはバターとシロップがかかったシンプルなパンケーキを選んだ。

口に入れると、甘くてふわふわで、食べ終わるのが少し惜しくなるくらいだった。


その後も私たちは、何度か二人で出かけた。

あんみつ、クレープ、チーズケーキ……。

彼が選んだお店のスイーツはどれも美味しくて、食べるたびに笑顔があふれた。


「本当に美味しそうに食べるね。その顔が見られて、今日も僕は幸せです」


微笑む晴人の横顔を見上げると、私の胸もふわりと温かくなる。

帰り道、並んで歩く足取りも軽く、自然と笑みがこぼれた。


「また美味しいお店探すから、一緒に行ってくれる?」

「私を太らせようとしてます?」


「ころんころんになったひなも可愛いよ、きっと」

「そうなったら、責任取ってくださいね」


ははは、と二人で笑った。

そんな冗談も言えるくらい、私たちは自然に仲良くなっていた。


夕暮れ時、オレンジ色の光に照らされて、二人の影が揺れる。


「これからも一緒に美味しいもの食べよう。色んなところに行って、たくさん笑おう」


ポンッと、ひなの頭に晴人の手が優しく触れた。


「だから、僕と付き合ってくれる?」


「え……?」


時が止まったかと思った。胸が高鳴る。


「お店じゃなくて……?」


「うん。好きだよ。ひなのことが。

ひなはどう思ってる?」


触れられた頭が、熱い。


「私も、です」


声が震く。そんな私を、晴人は優しく抱きしめた。


「よかった……!ありがとう」

「こちらこそ、ありがとう」


「これからもよろしくね」

「よろしく……です」


こんな日々がずっと、続きますように。

私たちは自然と手を繋いでいた。

その手の温もりが、心まで満たしてくれる。

くっついた腕が、愛おしくて、少しも離れたくなかった。


「どんなひなも好きだから、安心して食べていいからね」

「ちょっと、フラグ立てないで!」


二人で、ははは、と声を出して笑った。


「幸せにするね」


こんな日々がずっと、続きますように。

繋いだ手の温もりが、心まで満たしてくれる。

くっついた腕が、愛おしくて、少しも離れたくなかった。


夕暮れのオレンジ色に染まる街を、二人並んで歩きながら、私はそっと笑った。

心の奥で、あの雨の日の出会いと、ポーチの中のいちごミルクの飴を思い出す。

あの日も、今日も、きっとこれからも――

全部、私たちの幸せの始まりだったのだと。

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