箱が作り出す夢

@muronia225

第1話 小さな箱と瑠璃

小学校の時に小さな女の子と約束した。

○○「いい?この箱はね?再会したときに開けるの!絶対に一人で開けないでね?!」

侑李「わかったって!!○○ちゃんと約束!絶対に開けないよ!」

この思い出がずっと夢に出てくる。


そんな夢を抱えている僕、双葉侑李は現在、多比良総合病院にいる。

事故にあったそうだ、詳細は一切わからない、自分の家族でさえ、今までの思い出まで。

ただ覚えているのは夢で見るあの景色だった。

看護師「侑李さん、ご家族が来ていますがどういたしますか?」

家族?会えるのなら会いたいが自分は記憶が一切ない、自分の名前も知ったのは看護師に呼ばれたからである。

侑李「1ついいですか?」

看護師「なんでしょうか?」

侑李「僕は双葉侑李という名であっていますか?」

看護師「もちろんあってはいますが...少々お待ちください!!」

ここから医師が来て様々な検査をした。

その中で事故によって記憶を喪失してしまったことをしった。


病院で過ごし1週間が経過した。

自分の記憶は一切戻らない、見る夢は変わらない。

怖い、苦しい、自分はほんとに双葉侑李本人なのだろうか、そんな思考がずっとうごめく。

幸い体は少しのけがしかなく今は問題なく歩けていた。


気分転換をするため病院の中庭にきた。

そこには髪がきれいな青色できれいな女性が小さな箱を手に乗せながら歌を歌っていた。

人がたくさんいる、きれいな歌だった、何かがよみがえるように

侑李「何かがよみがえってくる...?この感覚はなんだ?」

頭が痛かった、自分がずっと見てきた夢が深くよみがえってくるように....

○○「侑李!!この箱はね!私がかなえたい夢が入ってるの!!侑李もなんか入れてよ!!」

侑李「夢かぁ、わかった!僕もかなえたい夢入れてみる!!」

なぜだろう、あの女性を見るとよみがえってくる、自分の夢の相手があの女性だというように、ずっと心に呼びかけてくる。

自分は記憶を失っているのに....


侑李「あ、頭が!!!!痛い!!あぁぁぁ...」

○○「大丈夫ですか?!誰か!看護師か医師を!!!!」

自分は気を失ってしまった。


侑李「こ、、ここは、、」

○○「大丈夫ですか!さっき中庭で突然頭を押さえながら痛い!と叫んでましたよ!?とりあえず看護師呼ぶので待ってください!」

自分はあの後病室に運ばれ女性にずっと見守られていたらしい。

看護師が到着してから、またあの長い検査が始まった。

検査が終了したころ、あの女性がずっと病室の前で待っていた。


○○「大丈夫?心配だったよ?侑李くん!」

侑李「一応問題ないと診断では言われましたが、あなたは一体?」

○○「あ....そうだった..私はね!猫野瑠璃!あなたの幼馴染!よろしくね!!」

自分にはこんなにかわいい幼馴染がいたんだとびっくりした

侑李「よろしくおねがいします?」

瑠璃「敬語なんてやめてよぉ、気楽に話そ!!」

侑李「わかった、よろしく!瑠璃!」

記憶を失っているのに、この会話だけはなんの違和感もなく進んだ。

瑠璃「侑李はさ?この箱何か知ってる?」

侑李「それは!?ずっと僕の夢に出てくる箱!!」

瑠璃の手の中には確かに夢の中の箱があった


瑠璃「これはね?侑李とね約束をした箱なの!せっかくだから開けない?侑李の記憶が少し蘇るかもよ?」

瑠璃は自分が記憶を失っていることを知っていたようだ。

侑李「いいけど、、嫌じゃないの?」

瑠璃「なんで?」

侑李「自分、記憶喪失らしいんだ、、、」

瑠璃「それで?」

なんでこんなにあっさりしているんだろう

分からない、幼馴染の記憶がなくなっているのになんでこんなに受け止めているんだろう


侑李「なんで何も疑わないの?幼馴染が記憶を失ってるんだよ?」

自分でこの話をするのが嫌だった。自分を否定しているようで、自分が存在していないようでつらく重たかった。

瑠璃「だから?確かに記憶はなくなってしまったかもしれないけど、ちゃんと私の大好きで大切な幼馴染じゃん!!何にも変わらない!話すとき冷たいのも!ちゃんと目を見て話してくれるところも!全部変わってないよ!!」

涙が出てきた、つらく重たい涙じゃなく、うれしくて幸せな涙だった。

自分はそこにははっきりといた、存在した!自分が否定されずにちゃんと受け止めてくれた。

侑李「ありがとう、、、、本当に、、本当に!!」

幼馴染にずっとくらい箱の中に入っていた自分がやっと出れた。

自分が涙を流していると瑠璃が抱きしめてくれた

瑠璃「泣き虫なところも変わってないねwいいよ泣いても、つらかったね一人で分からない場所で、わからない人の中で、大丈夫!私がいるから安心して?」

撫でられていた、安心した自分がここにいて、双葉侑李はしっかりと瑠璃に中にいた


侑李「つらかった!起きた日から自分も知らず誰も知らない!唯一覚えていることも瑠璃との思い出だけ!!誰もいなかった!家族も!認めていても目が怖かった!だから!」

たくさんの言葉が出てきた。蘇らないはずの記憶が、瑠璃とだけよみがえる。

瑠璃「大丈夫、もう私がずっとそばにいる!」

ありがとう、本当に

たくさんの感謝が出た。


少しの時間がたち、外はすっかり夕方になっていた。

瑠璃「侑李くん?そろそろ離してよぉ、私そろそろ帰らないと!」

侑李「ご、ごめん!安心してつい、、」

瑠璃「大丈夫だよ!安心してくれるならよかった!箱を開けるのはまた今度にしよ!明日もまた面会に来るね?」

侑李「待ってる、必ずだよ?」

そんな約束をして瑠璃は帰っていった

少しの間自分のことを振り返ってみた。

起きた時には記憶がなくなっていて、誰もわからず自分のことすらわからなかった。

1週間という短い間だったが自分のことは思い出せた、気分転換がしたくて外に出れば瑠璃がいて、自分がやっとこの世界にいることが実感できた。

あの小さな箱は確かに何かが入っている。

今日自分が出会えたように、夢が現実に出てきた。


今日はここまでにして寝よう。

明日は瑠璃がまた来てくれる、楽しみで心が跳ねる、これが好き?なのかな

分からないけど、スムーズに眠りに入れた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る