河童忌

夢美瑠瑠

第1話 芥川龍之介について知っていること・思うこと


  7月25日が、「河童忌」で、言うまでもなく芥川龍之介の命日。

 睡眠薬の中毒?だったみたいですが、睡眠薬自殺したらしいです。

 自殺した高名な文学者は多い…ミシマ、ダザイ、川端康成、ヘミングウェイ、原民喜という人も自殺。 社会との違和感のほかに、文名が上がるということには、独特の、もしかしたら居心地の悪さを伴う、そうした妙な世間からの嫉妬を買いやすい?

 そういう特性はありうるかも? 大江健三郎さんの、ノーベル文学賞受賞後の文壇バーとかでの「孤立」がひどかったとか、これは別の人が暴露していたんですが。


 三島由紀夫の自殺の仕方はユニーク過ぎたですが、作品がそれほどユニークだったわけでなく、普遍性がない、キチガイのたわごとでしかないのならそもそも認められもしないと思う。

 ミシマやダザイを、Wikipediaは、「自己愛性人格障害」と断じていますが、読んでみて「病的」と思う人のほうがマイノリティではないか。 人工的で空虚な美文…そういう感触はあるが、無内容なわけでなく、非常に奥が深い。 オレはそれほど愛読者でないが、豊饒な印象もある。(「豊饒の海」というのもあるしw)


 太宰治氏も、「心の病気」とはっきり断定されるわけでなくて、「気弱なエゴイスト」で、優柔不断な文学青年の類型、それがたまたま飛びぬけたような文才に富んでいて? と、その「個性」が特殊だったと言われるだけで。


 「人間失格」にまで堕落したのは、文才ゆえに生じた世間との軋轢がそうさせた?そこまではふつうあまり言わないが、しきりにそんな気がする。


 芥川氏の場合は、もともとかなりにニューロティックな、典型的な「分裂気質」タイプで、それは見た目に露骨に表れていて、書くものにも神経質に苦しむ人物が多い。 「僕の持っているのは神経だけだ」と、傲然と言い放っている文言もある。


 それゆえの理知や切れ味の鋭さは、しかし対世間においては当然不利に働いて、「角が立ち」?、「或る阿保の一生」なる遺作の終章では、「刃のこぼれてしまった剣を杖代わりにその日ぐらしをしている」と、零落してしまった、ボロボロの?自画像を描いている。 岸田秀氏は「シニシズムの破綻」と、一言でこの間の事情をいい得て妙に喝破した…


 「河童忌」はだから、喝破しすぎた河童の、自家撞着ゆえの敗北の日という、そういう風にもとれたりする。

https://kakuyomu.jp/users/joeyasushi/news/16818792437322225253

https://kakuyomu.jp/users/joeyasushi/news/16818792437321731304

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