即興ショートショート『だいしぜんでみんなでなかよく』
穂上龍(ほがみ りゅう)
第1話『だいしぜんでみんなでなかよく』
H海道で巨大グマが人間を襲うという事件が多発したので、ハンターたちが依頼を受けてこれを駆除することとなった。
こうして人を一度でも襲った経験があるとされる個体は駆除されていったが、都会にすむ人間らの一部は動物愛護の精神で「クマを殺処分するのは酷い、酷い」と強くハンターや役所に抗議をし始めた。
困惑するハンターや役所の人間たち。
そうして最悪なことにそれは巨大な愛護運動となってしまい、結局人食いクマは一定数H海道で放置されることとなってしまった。
それから数年後、大都会の暮らしに辟易した動物愛護人らの一部がH海道へ移住しようとしてH海道はそれを支援することとなった。
格安で税金もかからない土地を用意してくれるのでルンルン気分で彼らはH海道へ移住すると、そこには嘗てのクマたちが人がまったく手を加えない大自然の中で特別居住をしていた。
クマ:「あの時は、お世話になりました」
愛護者:「あ!はい!良かったですね!」
クマ:「ところで相談なんですが」
愛護者:「なんですか?」
クマ:「私、もう鮭は食べ飽きてまして、今とても腹が減りました」
(柳✘博のナレーション)
大自然の掟は非常にシンプルであり非情でもある。
我々人類やペットとは違い、野生動物の多くは寿命を迎えて天寿を全うするということはない。
多くの自然の生き物たちは生きたまま他の生物の餌になるという最期を迎えるのである。
しかし彼らは国家に対する我々人間とは違い、大自然の地球に対して納税の義務も労働の義務もないのだ。
そしてそれこそが彼らが地球という大自然に支払う労働と納税なのでもある。
おわり。
即興ショートショート『だいしぜんでみんなでなかよく』 穂上龍(ほがみ りゅう) @ryuhogami
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