第1章 目覚めのエンデュミオン

第2話 反逆までの前奏曲


俺達は依頼主に言われたあるバーに来た

表向きはバーだが合言葉を言えば武器を売ってくれるらしい

手順はまず閉店時間に店に入る

「客かい?残念、もう店じまいだ」

そしてその後にカウンターに向かい、店主へ合言葉を伝える

「なあマスター、チリコンカンって売ってるか?」

「へっ……アンタ、よく知ってんね、来い、自慢の商品を見せようじゃないか」

マスターは奥へ入り、仕切りのカーテンを開けた

「俺はジョン、アンタの話はアイツから聞いてる、好きなのいくらでも持ってきな」

店の奥にはおびただしい量の銃が揃えられていた

ハンドガン リボルバー アサルトライフル、サブマシンガンにショットガン

果てはスナイパーライフルまで揃えられている

「すごい品ぞろえだな……」

俺は完璧に並べられた銃を見ながら少しうっとりしていた

「なあジョン、なんでチリコンカンなんだ?」

アイリスがジョンへ質問を投げかけた

「ああ?俺の好物だからに決まってんだろ?」

アイリスはなんだコイツと思いながらもジョンに問いかけた

「おすすめの狙撃銃とサイドアームはあるか?」

ジョンは少し悩み、思い立ったように店の裏に走っていった

自慢げな顔でジョンは銃を取り出し、話し出した

「俺のイチオシの狙撃銃だ、今まで数々の狙撃手にコイツを見せてきた」

「M1ガーランド、しかもその狙撃特化タイプだ!」

この後も長々とM1ガーランドの良さを語り、欠伸が出そうな程に言った後、アイリスは口を開いた

「バカか?M1ガーランドのあの音は自ら居場所を晒してるようなものだろ」

「せめてモシン・ナガンかドラグノフでもないと……」

そんな言葉を聞き店主は呆れたような動きを見せ、長々と語り出した

「わかってねぇなあ……M1ガーランドだからいいんだ!この音に装弾方法にこの重み!これら全てがM1ガーランドを引き立てるんだ!」

「こいつを使わなきゃ二流……いや!俺からすれば3流もいいところだ!」

アイリスは頭を抱え、語っているジョンを止め、言った

「わかった!わかったよ、こいつを使う、でサイドアームは?」

「それなら最初から決まってるさ!」

ジョンは後ろの棚から一丁の銃を取り、アイリスに見せた

「トカレフTT-33、SV社の名銃だ」

俺は違和感を感じた、SV社とはなんだ?トカレフはソビエトの作った銃の筈……?!

「SV社って……なんだ?」

それを言った途端、2人はキョトンとした顔でこちらを見た

「SVだぞ?知らないのか?!」

「知らないな……」

俺はそのSVたる企業の話を聞いた、正式名称「soviet社」ドラグノフ、トカレフ、モシン・ナガンなど数々の名銃を作った会社らしい、俺の世界で言うソビエト連邦の銃を作っているらしい

他にも「AR社」正式名称は「America社」ウィンチェスターライフルやM16自動小銃ブラックライフルを作っている、俺の世界でのアメリカの銃らしい

一連の話を聞き終わり、ジョンにあることを聞かれた

「お前の銃はいらないのか?」

俺はそう聞かれ、少し迷ったあと、コートの中の銃を取り出した

「俺にはこいつがある」

そう言い、俺はスコーピオンをジョンに差し出した

「ほ〜……こいつぁすごいカスタムだな……極限までバレルを切り詰め、ストックは完全に取り外されてる……お前、こいつのマガジンを見せてくれ」

俺はマガジンを取り出してジョンに見せた

「やっぱりだ……ストレートマガジンでマガジン自体の携行性も上げてるのか……相当なガンスミスが仕上げたな……これは……」

恍惚としたその表情を抑え、ジョンは口を開いた

「確かに、こんな事銃がありゃ必要は無いな、よし!これで全部か?」

そう言い、裏から出ようとした時

「まて、注射器を打ち出せる銃とかは……ないか?」

「は?まあ……あるにはあるが……何に使うんだ?」

「それは─」


─世界政府管理 特別保管庫─

「ほう?ここに侵入者が来るだと?」

一人の衛兵が男に告げる

「ええ、裏ルートからの情報ですが、間違いないかと」

「フッ……舐められたものだな、俺1人で十分だ」

そう言い、衛兵の肩を叩き、男は部屋から出て言った

少しの静寂が流れ、衛兵がつぶやく

「あれが世界政府の特別親衛隊No.3……」

ジャック・ザ・リッパー切り裂きジャック─」

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異世界便利屋録 ─銃と魔法と神々と─ 玖躰 延慶 @kyutai_sousakuzin

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