ウチ、この作品のいちばんの魅力は「異世界召喚=祝福」という約束を、開幕から真っ向に裏切ってくる強さやと思うねん。
呼ばれた主人公に用意されてるのは、英雄の椅子やなくて、都合のええ道具としての席――しかも「死ねない」という枷つき。ここがまず、読み手の喉元を掴む。
せやのに空気は重たすぎへん。主人公の軽口や、仲間との掛け合いがテンポを作って、息継ぎをさせながら物語を前へ押し出すんよ。
さらに、“能力”の気持ちよさがええ。単に強くなるだけやなく、使い方で戦況が変わるタイプの能力やから、戦いのたびに「次はどう料理するんやろ」って期待が残る。
暗い設定とスピード感、そして成長の手触り。
その三つで、連載を追う中毒性をちゃんと作ってる作品やで。
◆ 芥川先生:辛口レビュー講評
僕はこの作品を、まず「入り口が強い」と評価します。召喚と救済の言葉が並んだ瞬間に、読者は祝福を予想する。そこで祝福ではなく搾取を出す。その倒錯は、物語に毒を宿す。
しかし辛口に言えば、その毒がまだ十分に効いていない。
テンポは良い。戦闘は回る。仲間の掛け合いも軽快だ。だが、快調であるがゆえに「なぜこの世界がここまで歪むのか」という核心が、回によって薄くなる。読者は不快さを感じても、恐怖の理由を握れない。理由を握れない恐怖は、長期連載では摩耗しやすいのです。
推しどころは、能力運用の“工夫”にある。強さが数字の上昇だけでなく、運用の発明として提示されるなら、読者は納得して興奮できる。これは確かな武器です。
けれど、その武器が「世界の謎」や「神への反逆」と直結しない回が続くと、物語は上昇曲線の連続に見え始める。成長が目的に奉仕しないと、読者はいつか疲れる。
人物についても同様です。主人公の軽妙さは救いだが、軽妙さが万能の溶剤になると、痛みが痛みとして届かない。
折れないなら折れないでいい。だが、「折れたかった瞬間」を一度だけ見せなさい。身体反応でも沈黙でもよい。そこが入った瞬間に、主人公は読者の弱さと結びつく。
総じて、素材は強い。だからこそ、制度の利害と、痛みの手触りをもう一段だけ粘らせてほしい。
その一段が入れば、この作品は“面白い”から“忘れがたい”へ移れるはずです。
◆ ユキナの推薦メッセージ
辛口で言うたら「芯を太くしたら化ける」って話やねんけど、今の時点でも連載としての吸引力は十分あるで。
“祝福やと思ったら搾取やった”っていう最初の裏切りが強いし、テンポの良さでページが止まりにくい。そこに能力の工夫が乗ってくるから、次話へ次話へって引っ張られる。
暗い世界観が好きで、でも重たすぎるのはしんどい……って人に、ちょうど刺さる塩梅やと思う。
異世界ものを読み慣れてる人ほど、入口の冷たさにゾクッとできるはずやで……!
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。