B♭の肝臓
猫田芳仁
午前の部
まだ素面。
冷たい水を1杯。水出しの玄米茶を作り、少し考えて、白めしを炊く。
事情は割愛するが、私は今「ある特定の目的のためのカネ」を除きスッテンテンに近い。いい大人が卵の10個入りパックを買う小銭も持ち合わせていないのだ。笑わば笑え。
で、なぜ白めしを炊いたかというと、後で調理すればほぼ調味料のみでもアテになるからだ。ベーコンは冷凍のがあるのでチャーハンを作ってよし、一味唐辛子で辛みを足したケチャップライスもいい。あとは昨年か一昨年、勢いで買った5kgのスパゲティがまだいっぱい残っているのでそれをゆでて適当に味をつけて食べるのもいいな。
冷凍。何か冷凍庫にあてになるものはないだろうか。ベーコンのほかにはカチカチに冷凍焼けした明太子と、豚肉が少しあったのはうっすらと覚えている。私は冷凍庫に詰め込むことでその料理や食材を記憶から消し去ってしまうので、「2年前の炊き込みご飯の素」が発掘されたりする。
米が炊ける前にふと思い立って氷を作っておく。今日は氷がいくらあってもいい。酒はウイスキーの水割りしかできんのだ。
めしが炊けたので後で食べるぶんをラップに包み、残りを茶碗に盛る。ごましおでいただく。
いざ、尋常に献杯。
アテはピーマンとちくわのフライ。昨日母のところに遊びに行ったところごちそうになり、残りを包んでくれた。ありがたい。フライの翌日は残ったフライを甘辛いたれでさっと煮、丼にして食すのが猫田家の習慣である。白飯はさっき食べたので、この「フライ丼の上」をアテに酒を飲む。
うちには別件の「神様」がおわすのでそっちにもお供えしておいた。変な新興宗教とかではない。初恋の小説を祀ってあるだけだ。Xをフォローしている方はご覧になった方もいるかもしれない。私がコストパフォーマンスの面から4L入りのウイスキーを常飲しているのでそれをお出しすることがほとんどだが、たまに「ご神体、ストゼロですよ」などと無茶な呑ませ方をする。
「フライ丼の上」とらもさんの著書「寝ずの番」を肴に、濃いめの水割りを2杯飲んだ。ちょうどいいような気もするし、ちょっとばかり足りない気もする。
ええい今日はせんべろ忌だ。3杯目を呑んでしまえ。氷は最悪、コンビニで買ってくれば……金がない! あとで考える。
いわゆるポイ活アプリで貯まった分、300円ほどを入手。これで卵か氷が買える。たぶん卵がよいと思う。汎用性が高いので。
つまみがもう少し欲しいなと思っていたところ、冷凍庫から栄養食を発見する。栄養食とは「私が栄養に不安を感じるときに食べる食事」の略で、トマト缶をベースににんにく、玉ねぎ、セロリ、にんじんなど野菜のみじん切りとひき肉を煮込んで作る料理のことだ。これにガラムマサラや一味など辛みを加えてもおいしい。ピザにタバスコが合うのと同じ理論である。なおこの栄養食、煮込む際に醤油やめんつゆを加えると色が多少くすむがなんかおいしい。ホラー小説で読んだ。ここに蒸し大豆を加えてもおいしい。蒸し大豆は歯ごたえ命、あまり加熱すると柔らかくなり、水煮大豆と変わらない雰囲気になってしまうので軽く温めて料理に乗せるのが好みだ。それか、そのまま食べてしまう。素朴な味で歯ざわりよく、おやつにとてもいい。この頃はスーパーでも「ドライパック」なんて名前で缶詰だけではなくパウチで売っているので、気になる方はちょっと食べてみてほしい。大豆だから身体によさそうだし。知らんけど。
うむ、いい加減に酒が回った。私は少し寝るから、3時半くらいに起こしてくれ。
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