第8話 初老の人

龍誠と、瞳と、小百合は、巨大なUAPの中に救助されたようだ。

地上では、阿蘇山の山体崩壊噴火と富士山の山体崩壊の噴火、そして南海トラフ巨大地震、同時に東京都直下型マグニチュード9震度7強の巨大地震が三回起きている。

津波は、太平洋沿岸に30メートル以上、首都圏に100メートル以上の津波が押し寄せている。何もかも流されている。

巨大宇宙船の中で、龍誠は、一人の初老の人に絡まれた。

初老の人「おまえさんは、若くてカッチョイイし、彼女もいて幸せそうだのう」

第一印象として初老の人は、髪の毛はなく、歯が抜けて、ボロボロの服を着ている。性格も根暗で嫌われ者のようだった。

龍誠は黙っている。そして優しく初老の人の目を見て笑顔で会釈した。

初老の人「今は、若くて元気でも60歳過ぎたら老いぼれてぼろぼろになるんじゃ」

龍誠は、その一言一言の中に人生という年輪を重ねた方の知恵を感じていた。

そして、初老の人の一言一言に黙ってうなずいていた。

初老の人「おまえさんは、なぜ、わしのような嫌われ者の戯言を笑顔で聞いていられるんだ?」そういうと、怒りをこめた表情になった。

龍誠は、黙って、静かに彼の両手を握りしめた。

そして、一言「ご苦労さまでした」と頭を下げた。

すると、初老の人の両目から自然と涙が流れ始める。

二人は、お互いに理解し始めたのだ。

龍誠は、伝えたかったのだ、理解は愛であるということを。

愛とは、相手を理解するということを伝えたかったのだ。


つづく



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る