推しの推し……の、推しが自分だったんですが。
あざね
オープニング
プロローグ この状況を説明してください。
『実はね……アタシには別事務所に推しがいて、明後日ついにコラボができることになったの!!』
俺が配信を見ていると、推しである新人ライバーの黒猫まつりさんが、そう言った。
名前の通り黒を基調とした衣装のアバターで、黒髪ロングに猫耳を生やしている美少女だ。声は鈴のように綺麗で、俺は初配信で偶然に見かけて以来、ずっと彼女を追いかけ続けている。
彼女が他の配信者――さらには他事務所の方を取り上げるなんて、いままでなかった。推しと呼んでいることから察するに、相当な思い入れがあるのだろう。
『えっと、みんなもご存知だと思うんだけど……狛犬シロ様、って方で――』
「狛犬シロ、って……たしか、すごいベテランだよな」
黒猫さんは熱のこもった口調で、そのライバーさんの説明を続けていた。
ちなみに、そのライバーの名前は俺も知っている。黒猫さんよりも二年早くデビューしており、アプリ内でもトップランクに位置している女性ライバーだった。俺の推しとは対象的に、白を基調としたドレスのような衣装に、犬の耳を生やしている。
元気いっぱいな黒猫さんに対して、クールな印象を受けるのが狛犬さん。
「意外な取り合わせだなぁ……まぁ、それも好み次第か」
俺だって他の人からすれば、ライバーを推しているなんて不思議がられるかもしれない。だから他人の好みなんて、その人それぞれの自由だと思った。
しかし推しが推しているなら、俺も狛犬さんを応援しなければなるまい。
推しが気持ちよく配信活動を続けてくれることが、俺にとっての最大目標だった。
「よし、それじゃあスケジュールを――」
そんなわけで、俺はそのコラボ配信日に予定していた仕事を調整する。
これは絶対に行かなければならない、そう思ったから。
◆
そんなこんなで、コラボ配信当日。
俺は少し遅れた時間にようやく自室へ向かい、スマホを起動した。そして、
「あ、良かった。……二人とも、仲良さそうに話してるな」
その枠に入室する。
すると、いつものように俺の入室情報が表示された。
『あ、近衛カナデくん! 今日もきてくれて、ありがと!!』
そして黒猫さんは元気いっぱいに、こちらに挨拶をしてくれる。
俺は最初にして最後の接点を大切に噛みしめながら、返事を入力していた。その時だ。
『……待って、近衛カナデ? それって、作詞家の?』
黒猫さんの推しである狛犬さんが、妙に鋭い声でそう口を挟んできたのは。
驚き、俺は思わず手を止めてしまう。
いったい、何が起きているのか。
その時の俺には、事態がまったく理解できていなかった……。
――
新作です。
なろうにも投稿していますが、チャンスを増やすためにカクヨムさんでも。
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