痛みを感じなくなる薬
私は痛いのが嫌いだ。病院で注射を刺されると涙が大量に出るほど。
そんな私は痛みを感じなくなるという薬を手に入れた。
その薬はある老婆から買った。
仕事が終わり家に帰っている途中で私は老婆に声を掛けられた。
「そこのあんた、これ買わないかい?」
老婆はそう言うとバッグから小瓶を取り出した。
「なんですかそれは」
「痛みが感じなくなる薬だよ」
「どうしてその薬を私に?」
すると老婆はニヤついた顔でこう言った。
「私は占い師をしていてねぇあんたが痛みに敏感だってことがわかったから声を掛けたのさ」
私はその言葉を聞き驚いた。なぜなら私が痛いのを嫌いなのは家族や友人ぐらいしか知らないはずだからだ。
「どうしてそのことを知っているんですか」
「どうしてと言われてもねぇ見たらわかったのさ」
不気味に思ったが友人との話のネタになると思い、その薬を買うことにした。
「何円ですか?」
「本当は1万だけど5000円でいいわよ」
私はお金を老婆に渡した。老婆はお金を受け取ると私に背を向けて帰っていった。
「さて飲んでみるか」
帰宅した私は小瓶の中から薬を手に出して口の中に入れ飲み込んだ。
私は指に力を込めて肌をつまんだ。
「痛っ!普通に痛い」
私はあの老婆に殺意を抱いたがその殺意はすぐに消えた。
「ん?飲んで5分後に効果がでる」
小瓶の裏にそう書かれていたのだ。
「なんだーそう言うことか」
5分後
私はもう一度指で肌をつまんでみた。
「痛くない」
もっと力を込めて摘んだが痛くなかった。
「これ本物!」
私は打っていなかった予防注射を打ちに行くことにした。
次の日
(全然痛くない!)
涙が出るほど痛かった注射が全く痛くなかった。注射が打ち終わり私は病院から出た。
私は予防注射をできたことが嬉しくて左右の確認をせずに横断歩道を渡ってしまった。
ドンッ
私は車に突き飛ばされた。
だけど全然痛くなかった。
(薬飲んでて良かった)
私が安堵していると車の運転手が車から出てきた。
「おい!大丈夫か」
「大丈夫ですよ全然痛くないので」
運転手の前には腕や足が折れた血だらけの女が笑みを浮かべていた。
END
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