第33話 世界は今日も平和です
転生者アークスとの出会いと、お菓子での和解から、数週間が経ったんや。
『生産型移動要塞『フロンティア号』』は、今日も空をゆったりと移動しとったわ。
ミオの工房は、アークスという新たな住人(?)も加わって、ちょっとだけ賑やかになっとる。
(うぅ、アークスはん、相変わらずうるさいなぁ……)
ミオは、フカフカソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながらため息をついた。
アークスは、工房の隅で、資材スライム相手に「なぜワタシの破壊の力がこの粘液に吸収されるのか!」と、熱心に(そして一方的に)講義を繰り広げとった。
資材スライムたちは、アークスの周りで、破壊の魔力をモグモグしながら「ぷるる~?」と首を傾げとる。
(ほんま、平和やなぁ……)
アークスの出現は、世界を大きく揺るがす危機となるはずやった。
やけど、ミオの『究極の生産』能力と、お菓子と資材スライムの可愛らしさのおかげで、そんな危機は、あっさりドタバタコメディに変わったんや。
アークスの「ちょっとした」破壊行動は、資材スライムたちが素早く瓦礫をモグモグ片付けるので、被害はほとんどない。
たまにアークスが、うっかり街中で破壊魔法を放とうとして、ミオが「ちょ!何してんの!?」と慌てて資材スライムをけしかける、なんてハプニングもあった。
「ぷるぷるるるーっ!」
スライムバズーカーが炸裂し、アークスの魔法は中断される。
その度に、王都の人々は「なんだかまた、街中で変な音が聞こえたけど、まあいつものことか」と、慣れてきとるみたいやな。
世界会議で、ミオが提案した『人工輝光石』や『魔力循環システム』は、世界中に普及し始めた。
各国は、ミオの技術のおかげで、魔力汚染や資源不足の問題から解放されたんや。
作物は豊かに実り、魔物も大人しくなり、人々は平和な生活を送っとる。
(うんうん、世界は今日も平和やなぁ!めでたしめでたし!)
ミオは、満足そうに頷いた。
そんな平和な世界で、ミオはアルフレッド王子からの新たな依頼を受けた。
それは、「世界中の生産者たちが協力し合う、大規模な連合を組織してほしい」というものやった。
「ミオ殿の生産技術があれば、世界中の課題を解決できるはずです!どうか、この『生産者連合』の旗頭となってくだされ!」
アルフレッド王子の瞳は、ミオへの期待で輝いている。
(えぇ~!?また面倒事!?うち、引きこもりたいだけやのに、なんでそんな大役が回ってくるん!?)
ミオは、ソファの奥へと身を隠そうとする。
ルナリア姫とリリアーナ王女は、目を輝かせながらミオを見ている。
「ミオよ!それは面白そうだ!私も手伝おう!」
「ミオ殿なら、きっとできますわ!」
ライオスたち「暁の剣」パーティも、やる気に満ちている。
「ミオさんの力があれば、どんな問題も解決できるはずだ!」
ミオは、みんなの期待の眼差しに、ちょっとだけ心が動かされた。
(まあ、みんなが困ってるなら、しゃーないなぁ。これも、最高の工房を作るための、試練やと思とこか!)
ミオは、にっこり笑って、依頼を引き受けた。
『生産者連合』の結成は、世界中で大きな話題になった。
各国から、様々な種族の生産者たちが、王都のミオの工房に集まってくる。
ドワーフのゴルムはん、エルフの学者エリアスも、ミオの右腕となって活躍する。
資材スライムたちも、会議で大活躍。
テーブルの周りで素材を運んだり、お茶を配ったりしている。
彼らが「ぷるぷる」と可愛らしい音を立てているのを見て、各国代表たちも顔をほころばせた。
ミオの工房は、もはや単なる工房ではなく、世界を繋ぐ、平和の象徴となっていったんや。
世界は今日も平和やった。
ミオは、そんな平和な日常の中で、資材スライムをモフモフしながら、次の美味しいお菓子のレシピを考えていた。
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次回予告
世界規模の生産者連合が結成されたで!
いよいよ、アークスの「ちょっとした」破壊行動に、みんなで立ち向かうで!
うちのチート生産能力と、資材スライムはんたちが、どんな活躍を見せるんやろ!?
そして、アークスはんの最終兵器は、一体なんやろか!?
次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?
第34話 生産者たちのゆるふわ総力戦
お楽しみに!
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