第21話 裏社会の影と情報戦

『忘れ去られた遺跡』での冒険から数日。

『生産型移動要塞『フロンティア号』』は、今日も空をゆったりと移動しとったわ。

遺跡で手に入れた古代の知識のおかげで、ミオの生産能力はさらにパワーアップしとる。

(うわぁ、これ、もっと面白いもん作れるんちゃうん!?ロマンやなぁ!)

ミオは、寝落ちから目覚めるたびに、新しいアイデアに目を輝かせとった。

資材スライムたちも、ミオの新しい発明に興味津々で、材料集めに励んでくれる。

「ぷるぷる~っ!」

工房の中は、いつも賑やかや。


そんな平穏な日々に、ちょっとした影が忍び寄ってきたんや。

冒険者ギルドから、シエラが慌てた様子で戻ってきた。

「ミオさん!ちょっと大変なことになってるかもしれへん!」

シエラの顔は、いつもより険しい。その鋭い瞳に、焦りの色が浮かんどる。

「最近、王都でミオさんが作った魔道具の模倣品が、大量に出回ってるらしいんです。しかも、品質は最悪。すぐに壊れるし、危険な副作用が出るものもあるって話で……」


ミオは、首を傾げた。

(えぇ~?模倣品?うちのチート生産、そんな簡単に真似できるわけないやん?誰かのイタズラかなぁ?)

「それに、その模倣品を流通させている組織が、『影のギルド』って呼ばれる裏社会の連中らしいんです。どうやら、ミオさんの生産技術を狙ってるみたいで……」

シエラの言葉に、ミオはちょっとだけ顔をしかめた。

(裏社会とか、面倒くさいやん……。うち、引きこもりたいだけやのに!なんでこないに邪魔ばっかり入るん!?)


「影のギルド」は、王都の裏社会を牛耳る、情報操作や密輸、強奪などを得意とする組織やった。

彼らは、ミオの生産技術を悪用しようと企んどる。ミオの工房の技術が、彼らの手に入れば、莫大な富と力が手に入るからや。

ミオは直接戦闘はでけへんけど、情報収集用の魔道具や、偽装工作用の生産物で、彼らを翻弄することにした。

「よし!ここはうちの『究極の情報戦』で、サクッと片付けたるで!」

ミオは、資材スライムたちに指示を出した。


「ほな、資材スライムはん!隠れた情報源、モグモグして探したってや!」

茶色の資材スライムたちが、王都の地面や壁を「ぷるぷる~♪」と嬉しそうにかじり始めた。

彼らは、土の中や壁の隙間に隠された、影のギルドの情報伝達用の魔石や、盗聴用の魔道具を見つけ出してくる。その探知能力は、シエラも舌を巻くほどや。

「ぷるっ!」

スライムが、情報が詰まった魔石を、ミオの前にポロンと吐き出した。魔石は微かに熱を帯びている。

「おお、流石やな!ほんま、優秀な相棒や!」

ミオは、その魔石を分析し、影のギルドの拠点や、彼らが企んでいる計画を全て把握した。

彼らの計画は、ミオの模倣品を使って王都の経済を混乱させ、その隙に重要な物資を強奪するという、なかなか悪質なもんやった。


「次は、偽装工作や!」

ミオは、資材スライムたちに指示を出す。

「スライムはん、これ、透明な素材で、小型ドローン作れる?」

半透明の資材スライムが「ぷるる~♪」と嬉しそうに頷き、瞬時に小型ドローンに変形した。そのドローンは、手のひらサイズで、ほとんど目には見えへん。

ミオは、その小型ドローンに、影のギルドの模倣品と同じ魔力反応を出す偽装魔法を施した。

「よっしゃ、これで影のギルドを煙に巻いたるで!あいつら、うちの能力を甘く見すぎやねん!」

小型ドローンは、王都の空を飛び回り、影のギルドの模倣品があちこちで暴走しているかのように見せかけた。

王都の人々は、パニックになり、影のギルドの模倣品に対する不信感が爆発した。ギルドの問い合わせ窓口には、苦情の電話が殺到したんや。


ライオス、シエラ、フィオナの「暁の剣」パーティは、ミオの指示のもと、影のギルドの拠点を急襲した。

影のギルドの拠点は、王都の地下深く、迷路のように入り組んだ場所に隠されとった。

「まさか、ここがバレるとは……!」

「な、なんだ!?我々の模倣品が暴走しているだと!?」

「くっ、まさか、あの眠りの魔女が、これほどの手腕を持っているとは……!」

影のギルドのリーダーは、ミオの策略に翻弄され、呆然と立ち尽くす。彼の顔には、焦りと混乱が色濃く浮かぶ。

「作戦通り!行くぞ、みんな!」

ライオスが剣を振るい、シエラが闇に紛れて敵を無力化し、フィオナが仲間を回復する。

ミオの生産した魔導具と、冒険者たちの連携によって、影のギルドはあっさり壊滅したんや。

アジトの奥には、大量の模倣品が隠されとった。資材スライムたちが、その模倣品を「まずいぷる!」と評価しながら、モグモグと食べていく。


「やれやれ、これで一安心やな」

ミオは、ふかふかソファで資材スライムをモフモフしながらため息をついた。

王都の裏社会に潜んでいた影は、ミオのチート生産能力と、資材スライムたちの可愛らしい活躍によって、サクッと片付けられたんや。

工房には、また平和な日常が戻ってきたんやな。

(ふぅ、これでしばらくはゆっくり引きこもれるかなぁ。美味しいもの作って、スライムたちと遊んで、ぐっすり寝て……あ、また眠くなってきたわ……)

ミオは、心地よい睡魔に身を任せる。


---


次回予告


王国の平和を脅かす、まさかの戦争危機!?

隣国「ソルベリア王国」との関係が悪化し、うちの工房に新たな依頼が舞い込むんやろか!?

ミオのチート生産は、戦争を回避できるんやろか!?

そして、資材スライムはんたちは、どんな活躍を見せるんやろ!?

次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?


第22話 王国の平和とミオのお節介


お楽しみに!

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