第1話 魔王様
「おはよう、
気が付くとそこはあの汚い穢れたゴミ屋敷なんかではなく、貴族が住んでそうな綺麗で大きな城の中だった。
「あ、あえうあ……。(え、ここどこ)」
「ふふ、ここはね、貴方のお家よ。」
母親らしき女性は俺の体を抱えて、部屋の中を周った。
とても大きな部屋だ。この部屋は俺の部屋なのだろうか、と思ったが違った。もう1人部屋の日当たりの良いベッドで寝ていたのだ。
「うーあー(あいつは)」
「貴方のお姉ちゃん、
オレンジ色の髪の女の子が綺麗なベッドに横たわっている。
というか生まれたばかりの子ってこんなに毛量あったかな。
「アンジュ様、魔王様が帰還されましたよ。」
「え!もう?分かったすぐ行くわ!」
魔王…
『あんたがそんな子だから魔王に食い殺されればいいよ。』
あの毒親にそう言われたことがある。魔王は悪い子を殺すのが趣味だと。
「さ、紫鬼。お父さに会いに行きましょ。」
もしもこの母も、今から会う父も前の親と同じだったら。
「ルシファー♪」
ノックもなしに執務室の様な場所に入っていく。
その先には沢山の本と書類の山があった。でも不思議と前の家のような汚い穢れたような部屋だとは思わない。
「ほら、抱いてみて。」
俺の体を授けるが、魔王は受け取らない。
「なんでよ。」
「……から。」
なんて言ったんだろう。
でも、魔王の顔がどんどん赤くなっていっている。悪い子を殺すのが趣味なんじゃないのか?それともイライラして怒る寸前なのだろうか。
「どしたの?ほーら!」
俺の体を無理やり抱っこさせる。なんというか、筋肉ゴリゴリですごいゴツゴツするから……居心地すっごい悪い。
「嫌な顔してないか……?」
「……ちょっとね(笑)」
手はすごく震えている。
もしかして、ただ抱くのが怖かっただけなのか?
「じゃ、私聖來見てくるから宜しく!」
「あ!う!(え!ちょっと!)」
なんだあのわんぱく。まるで子供じゃないか。
それより、この怖い顔してる魔王と二人でどうしろと。
「(……ゴゴゴゴ)」
「あ……。」
オーラが違う。怖い、怖すぎる。
「紫鬼、痛くないか。」
「う、うー。」
全力で首を縦に振る。
……本当になんだこの魔王。さっきからオーラが全然子供に対するものじゃないんだが。なんというか、どす黒いというか。
「……あぁ、すまん。」
と同時にさっきのオーラは跡形もなくなる。
「う。(え。)」
すっげ、はじめてこんなすごい筋肉みた。家の壁みたいに硬い。
俺、こんな筋肉欲しいかも。
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