019 可能なら全てを集めてみたくはある

 ガズとゾフィアとは3階で別れて、自分達はナデール村へと向かう。


 時間にはまだ早いかも知れないけど、日は傾いているし暮れ始めるまでに、そう時間はかからないだろう。


「お待ちしておりました。ささっ中へお入りください、すぐに料理も出てまいります」


「まだ早いかとも思ったのですが⋯そうだ、手土産にワインを持ってきましたので、よろしければお飲みください」


「これはこれは、わざわざ申し訳ありません。さっそく夕食に出させて頂きましょう」


 案内された部屋で小樽を渡すと、置いてくるついでに選んでいただく女性達を連れてくる、と言って部屋を出て行った。


 とは言っても、村長家とはいえそれほど広い家でもなく。台所で料理の手伝いをしていたらしい娘達を呼ぶ声がこちらまで聞こえてきた。


 村長が戻ってきた時に連れていたのは、3人の娘達だった。


 1人目はスラリと伸びた手足と身長を持った女性で多分自分より頭1つ分くらい背が高い。ついでに胸と腰も細く、ヒョロリとしたと形容するに相応しい女性だった。


 みがけばモデルになりそうではあるけど、生憎あいにくとファッションショーには伝手が無いな。


 2人目は背が低く、本当に成人しているのか疑問だった。鑑定によると15歳らしいけど本当に成人しているのだろうか?こちらの成人が何歳なのか知らないけど、村長は成人していると言っていたはずだ。


 身長以外は普通で、少し頭が大きく見えるが、胸があって腰にくびれがあるので、子供とは違う事は見て取れた。


 3人目に入ってきたのは、大きな胸にまず目が奪われる女性だった。思わず生唾なまつばを飲み込んでしまうほどで、持ち主の頭とどちらが大きのか分からない程の存在感がワンピース型の村人服を押し上げていた。


 この瞬間に、誰を選ぶか自分の中で決まってしまった。多少の眼付きの悪さや性格など、あれに触れられる事に比べれば大した問題ではないだろう。


「紹介致します。最初に入ってきたのがアミル、続けてイネットとウトラと申します。どの娘も成人したばかりの生娘きむすめで仕事の内容も了承しております。

 1人と言わず2人でも3人でもお選び頂ければと。どうでしょうか、気に入ったものはおられますかな?」


「ああ、ウトラという娘がが気に入りました。彼女に仕事を任せたい」


 隠すことなく正直に答える。別に好みがバレたからといって、ボッタクられるわけでもないしな。


「おお、それはようございました。では明日から仕事をさせるといたしましょう。」


 村長は娘達に別室で食事をした後、帰るように言いつけ。部屋を後にさせる。


「そうでした。一応通いでも構わないのですが、住み込みとどちらにいたしますか?住み込みですと寝具や食事を用意していただく必要がございます」


 どうしますって、そりゃあ手を出す気なんだから住み込みだろう。やるだけやって夜道を帰らせるとか、自分はそこまで外道ではないぞ。


 食事も1日1回で良いらしいけど、それでは折角のお宝が無くなってしまうかも知れないじゃないか。


「住み込みで問題ありません。食事も朝夕用意しましょう」


「承知いたしました、明日にでも伝えておきましょう。丁度料理ができたようです、あとは食事をしながらでいかがですかな?」


 いつの間にか部屋の入り口に料理を持った女性が立っていた。


 パンや皿が並べられた後、鶏の丸焼きのようなものが食卓の中央にデンっと据えられ、切り分けられた肉が自分の皿にも盛り付けられる。


「今日は運よく猟師がヤマドリを獲ってきましてね。ここいらの伝統料理なのですが、お口に合えばよいのだが」


 ヤマドリ、鳥か。存在していたのか鳥。全然会わないから絶滅したのかと思っていたぞ。そういえば森の中で鳥の声を聞いた気がするな。


 鳥の腹に穀物や野菜を詰め、出てきた油をかけながらじっくりと鍋で焼くのだそうだ。よくある料理だけど、伝統料理ならたぶん地域で特色があるんだろう。


 鶏の脂はめちゃくちゃ大量に出るもんな。もったいないから自分もよく米にかけて食べたもんだ。残念ながら米ではなく麦飯のようだけど、油がよく染みて美味しかった。特に葉物野菜がいいな、油を吸ってもクドくない感じがよかった。


 食事中の会話はなかなか難しい。誤魔化しながら故郷の話などをするが、こちらの世界には存在しないので、中世の歴史を頭から引っ張り出してきて話をした。


 コップ2杯で酔っていたのか、誤魔化すのに必死だったのか分からないが。いつの間にかナポレオンの話をしていたようだ。


 話はうけたけど、東方には野心的で長大な大国がある事になってしまったので。何処かでバレないことを祈るばかりだ。


 余った料理は奥方や3人娘の食事になるのだろうから、腹8分目でお暇させてもらった。リレッタも満足したのか、しばらく前から手を止めていたしな。


「それでは明日からよろしくお願いします」


「こちらこそ、ダンジョンの事をよろしくお願いします」


 ナデール村から夢魔のひずめ亭へとワープゲートで飛んで。入り口から中へと入る。


「あら、おかえり。もう火は落としちまったから夕食と湯は出せないけどかまわないかい?」


 日は完全に落ちているのに、まだカウンターに座っていた女将さんに声をかけられた。


「大丈夫だ。明日から家を借りる事になったから、前祝いで食事に呼ばれてね」


「あら残念。なら泊まるのは今日までかい?」


「ああ、短い間だが世話になったな」


「それにしても、たった2人で家が借りられるほど稼げるなんて。あんた結構強かったんだね」


「運もあったんだけどね。それじゃあおやすみ」


「それだって実力さね。ゆっくりお休み」


 桶を借りて、水を汲んでから部屋へと戻り。一度体を拭いてからベッドへと入る。今日は洗濯は諦めだ。どうせ夜の間しか干せないから、明日でいいだろう。


 酒が入って眠くはあるけど、同時にムラムラもするのでリレッタに相手をしてもらう。


 周りは寝ていて、物音を立てると迷惑なので。昨日よりさらに静かにする必要がある。


 リレッタを軽く愛撫して、万能薬で濡れた秘所に擦り付け。全くイケそうもないスローセックスだったが。続けていると徐々に昂ってきて、精を吐き出すことができた。


 女性側は物足りないだろうから、入れたまま愛撫を続けて手で軽く至らせた。今日はこれで我慢してもらおう。明日からは声も音も好きに出せるからな。


 早く明日にならないだろうか。あの胸に触れるのを想像しながら、リレッタの後ろから胸を揉み。目を閉じて眠りにつく。


 翌朝、ガビガビになって気持ち悪い股間を必死で拭き。忘れ物がないように荷物を片付ける。


 すでに日が昇っていたので朝食をすませ、鍵を返してダンジョンへと向った。


 行くのはナデールのダンジョンだ。ピチタットの方はガズ達に任せた。3階層でマテリアが出た後は、行けそうなら階層を上げるように言っておいたので、そのうち上の階に連れて行ってもらおう。


 さて、今日はこのダンジョンの待機部屋を探すのが目的なので。レアドロップ率を下げて知力に振り直して探索する。


 出来るだけ道順を覚える努力をして、同じ道に行かないよう頭の中で地図を作りながら進んで行く。


 最初は順調に行っていたものの。途中から頭がパンクしそうになり、この方法は諦めることにした。


 知力20程度と自分の頭じゃ足りなかったらしい。となると次はリレッタだな。幸運90と器用50から知力100へと振り直し、指示を出して先頭を歩いてもらう。


「頭の中で地図を作りながら移動して、待機部屋の場所を探してくれ。途中で魔物がいたら倒しに行こう」


 ようやく重労働から解放された頭をマッサージし、風を送って冷やすと普段通り頭が回り始めてきたのを感じた。


 脳はだっていたものの。戦闘は順調で快適だった。


 ジョブが強くなったおかげで回避に余裕ができ。ローグのジョブが持つ反応速度上昇のスキルのおかげか、カウンターを入れる余裕すらできていた。


 記憶という重石から解放された今。グレイブガードキーパーなんて敵じゃないな。攻撃をしてきたら回避と同時にカウンター、通常攻撃と2発当て。次の攻撃が来たらまた2発追加して、グレイブガードキーパーが倒せてしまう。


 1階だから魔物のHPも低いんだろうけど。まさかジョブを変えただけで、ここまで強化されるとは思っていなかった。


 これなら、リレッタがあっさり攻撃を届かせている理由が分かるというものだ。


 と、ここまで考えて。まだ自分のジョブを変えていなかったことに、今更気が付いた。


 ということは、これはガズとゾフィアの分の効果なのか。リレッタだけの時はあまり変化を感じなかったけど。あの時は2対1になったりと戦闘がガラリと変わったからな。


 2人分の上級職の効果は、鈍い自分でもさすがに気が付くほどだったということだろう。


 恥ずかしい、昨日倒した2匹のノッカーの時は気が付かなかったな。ガズ達を手に入れた嬉しさで舞い上がっていたらしい。


 これだけ効果があるならセカンドジョブのチートも試しておきたいな。


 2人分のジョブで、これだけ変化を感じるなら。セカンドジョブで2つ転職しても、同じ様な変化を感じるということだ。


 セカンドジョブにポイントを振り、ジョブをローグとスカウトにしようとしたけど。スカウトを選ぶ事はできなかった。同じ系列のジョブは選べないのかも知れないな。


 他にも村人になる事もできなかった。税金軽減のスキルは残念ながら使うことができないらしい。


 結局、ジョブは剣士とローグに決まり。ジョブの効果を今度は実感することができたが。2人分の効果と比べると変化が少ないので感動は少なかった。


 ステータスには、初めに選んだジョブのみが表示されるようなので。セカンドジョブ以降になら、犯罪職を付けっぱなしでもバレずにすみそうだ。


 本格的にジョブも探さないとな。今わかっているのは武闘家と占い師、風水師か。風水師以外はすぐになれそうだしやってみるか。


 武闘家は素手で戦うとリレッタが言っていたし、ナイフを使わずに戦ってみよう。ジョブの効果で下駄をいている今なら、素手でも問題無く戦えるはずだ。


 リレッタに牽制けんせいだけしてもらい、50回ほど殴るとグレイブガードキーパーを倒すことができた。


 銅のナイフでもノッカーを20回くらい攻撃したら倒せたと思うんだけど。武闘家は人はよくこれで戦っていられるな。


 まぁジョブにもついていないから、もしかしたら転職したら変わるのかも知れない。


 剣士を武闘家と入れ替えて、もう一度グレイブガードキーパーと戦ってみる。


 殴ること40回ほど⋯やっと倒せたけど。これは防御貫通微の効果か?これだけじゃまだまだ弱すぎるな。


 そうなるとアクティブスキルが強いのかも知れない。武闘家に転職すると使えるようになる気功術のスキルを使ってみよう。


 例によってMP1では枯渇こかつするだろうから、MP10と回復速度4倍までチートに振っておく。


 気功術を使うと身体の周りに薄い膜が作られたのを感じる。これが気だろうか?


 多少は意思で動かせるらしいけど、移動したまま維持するには結構集中力が必要だった。


 まずは標準の状態でいいか。グレイブガードキーパーと再び対峙たいじして、攻撃を避けた時に気が付いた。身体が軽い。


 どうやら気功術には敏捷も上昇させてくれるらしい。これで攻撃力も上がるならかなり有用なスキルだな。


 グレイブガードキーパーを25回殴ったところで倒す事ができた。防御貫通と合わせて攻撃力倍か。確かにこれなら金の無い初心者には良さそうだ。


 問題は気功術がどのくらいMPを消費するかだ。どうやら数分で効果が切れるらしくて、戦闘中に掛け直す必要があった。


 幸い自分は余裕があったけど、冒険者成り立ての人でも維持できるのだろうか?このジョブも半裸で戦わないといけないような気配がする。


 次に拳に気を集めて戦ってみたけどこれは意味が無かった。攻撃回数が変わらなかったので集めるだけじゃダメらしい。


 圧縮も試してみたけどできていないようだし。訓練と研究が必要そうなジョブだな。

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