最終話 最期の時とその前日
窓の外には春の花が咲き始めていた。
「明日は何が食べたい?」母の声が柔らかく響く。 梨花と桃花は昔話を出し合い、みんなで笑いあった。
「来年もパジャマパーティーしなきゃね」「優花の分まで大きなケーキ食べてやるから!」 私はそのどれも、たまらなく愛おしく感じていた。
翌日、昼頃になると身体がふわふわと軽くなって、それでいて宇宙の果てにいるみたいな遠さを覚えた。 両親が私の名前を何度も呼び、梨花も桃花も泣きながら手を握ってくれた。
「約束だよ。向こうでもまた笑おう」
「またね」 私は最後まで「さよなら」は言わなかった。 春の光のなかで、私は静かにそっとまぶたを閉じた。
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