第14話 塔の頂きへ
第2学期末。スプロウツはついにSランク挑戦権を獲得した。挑戦の舞台はタワー寮最上階――学園で最も特権的な場所であり、トップ層だけが生活を許される象徴だった。
前夜、廃部室での作戦会議。
「ここから先は、全員が限界を超えないと勝てない」拓馬が真剣な表情で切り出す。
祥子は微笑みつつも、鋭い視線を向けた。「経験をすべて出し切る時ね」
哲は手を震わせながらも拳を握った。「怖いけど……逃げない」
友梨は資料を確認し、しっかりとうなずく。「失敗を糧に、着実に一歩ずつ進む。それが私たちでしょ」
寛人が笑って拳を鳴らした。「突撃なら任せろ。分析は栞奈がしてくれる」
栞奈は冷静に端末を見つめる。「今回は全員が主役です。拓馬さん、あなたの再演も含め、動きを完全に最適化しました」
ウリエルは椅子に腰掛けたまま、ぼそりと呟く。「蒼光の制御を安定させた。暴走はもう起きないはずだ」
フィオナが微笑み、「交渉の準備もしてあるわ。仮に外部介入があっても時間を稼げる」と告げた。
翌朝、タワー寮最上階。重厚な扉が開き、挑戦が始まった。
Sランクの住人たちはそれぞれが個別の戦闘スタイルを持つ猛者揃い。スプロウツは何度も押し込まれながらも、各メンバーの個性と信頼で突破していく。
拓馬は再演を発動し、敵の連携技を一瞬で逆写して封じる。
祥子の経験値が的確な指揮を生み、哲と友梨が後方支援で支え、寛人の突撃力が敵陣を切り裂いた。
栞奈は戦況を常に最適化し、ウリエルのデバイスが異能干渉を無効化する。
連戦の末、最上階への扉が開いた。そこには、学園の頂点に立つ生徒会長とエリートチームが待ち構えていた。
「ここからが本当の戦いだ」拓馬は仲間に声をかけた。
その瞬間、胸中に浮かんだのは過去の自分。失敗ばかりで笑われ、諦めていた日々。しかし今は違う。仲間と共に戦える力がある。
「俺はもう、同じ失敗はしない」
最上階での戦いは長く熾烈だった。だがスプロウツは見事に勝利し、Sランクへの挑戦権を完全にものにした。
試合後、拓馬は静かに誓った。
「この力で、俺自身の欠点さえも“再演”して克服してみせる」
チームの絆と戦術は、ついに完成形に近づいていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます