第7話 キスばかり
それでも彼女は何度も何度も繰り返し口づけをしてきて、その度に快感を与えられてしまいます。
もう何も考えられないくらいに思考が停止してしまっている中、ふと目の前にある机の上に置いてあった鏡に映る自分の姿が目に入った瞬間、ハッと我に返ったのです。
(何やってるんだろう、私……)
しかし、その時には既に遅く、彼女によって完全に支配されてしまっていたのです。
そして、彼女はさらに激しい責めを加えてくるのです。
私はその快感に溺れながらも、なんとか意識を保とうと必死になっていました。
(こんなのおかしいよ……)
そんなことを考えながらも、身体は正直に反応してしまい、彼女を受け入れてしまっているのです。
そうして、彼女からの責めが一段落した頃には、私はすっかり出来上がってしまい、息も絶え絶えになっていたのでした。
(こんなこと、いけないことなのに……)
頭では理解していても、体は彼女を求めてしまう自分がいることに気づいてしまいました。
そうして、私たちは何度も何度も繰り返しキスをするのでした。
彼女の柔らかな唇の感触、舌のざらついた感触、すべてが心地よくて気持ちよかったのです。
私はもう何も考えられなくなっていたのですが、そんな私の状態を察してか、彼女はそっと耳元で囁いてきました。
「ねえ、もっと気持ち良くなりたくない?」
その言葉を聞いた瞬間、私は反射的に首を縦に振っていたのです。
すると、彼女はニヤリと笑って、再び唇を重ねてくるのです。
今度は先ほどよりも激しく、乱暴に扱われているような感覚がありましたが、それでも私は幸せでした。
彼女のことが大好きだからです。
そして、彼女の舌が私の口内を蹂躙していくにつれて、次第に頭がボーッとしてきて何も考えられなくなっていったのでした。
どれくらい時間が経ったでしょうか、ようやく解放されると、私は肩で大きく息をしていました。
そんな様子を見て、彼女は嬉しそうな表情を浮かべていましたが、すぐに私の手を取って立たせてきたのです。
そして、そのまま教室の外へと連れ出していくのでした。
(どこへ行くんだろう?)
そんな疑問を抱きつつも黙ってついて行きました。
やがて目的地に到着したらしく、そこで立ち止まりましたので顔を上げようとした瞬間、不意に目隠しをされて視界を奪われてしまいました。
何が起こったのかわからず、混乱していると耳元で囁かれたのです。
その声を聞いただけで体がビクッと反応してしまいました。
さらに耳元にフッと息を吹きかけられた途端頭が真っ白になってしまい、何も考えられなくなってしまいました。
次に何をされるのかわからないという恐怖心に襲われる中、首筋に痛みを覚えましたが次の瞬間には快感に変わっていて段々と思考ができなくなっていくのを感じたのです。
彼女が口を離す頃には完全に蕩けきってしまっており、抵抗する気力など残っていませんでした。
そうして、私たちは長い間繋がっていたのですが、やがて彼女が口を離すと、私は放心状態で床に倒れ込んでしまいました。
その光景を見て、彼女は満足げな笑みを浮かべて去って行きましたが、私はまだ余韻に浸っていたせいか全く気づきませんでした。
(もう少しだけこのままでいたいな)
そんなことを考えていると、不意に後ろから抱きつかれ、耳元で囁かれました。
「ねぇ、キスしたい?」
その問いかけに、私は迷わず頷きました。
そして、彼女は満足そうな笑みを浮かべると、そっと私の唇に自分の唇を重ね合わせてきたのでした。
その感触に思わず声が出てしまいそうになりますが、なんとか堪えて受け入れる姿勢を取ります。
すると、彼女は嬉しそうに目を細めながら更に深く求めてくるので、私もそれに応えるように自らの意思で受け入れていくのでした。
「んっ……はぁ……」
舌を絡ませ合い、唾液を交換し合うような濃厚なキスを続けているうちに頭がボーっとしてきて何も考えられなくなっていきます。
その状態が続くうちに、だんだんと気持ち良くなっていき、最終的には頭が真っ白になってしまいました。
(もうこれ以上は耐えられない……)
そう思った瞬間、急に体から力が抜け落ちてしまったのです。
その様子を見て、彼女は満足げな表情を浮かべると、ゆっくりと口を離していきました。
そして、そのまま立ち去ろうとするので慌てて引き留めようとしましたが、力が入らず起き上がることすらできません。
結局、その場で仰向けに横たわったまま動けなくなってしまったのです。
すると、彼女は振り返りながら私に微笑みかけてきたのです。
その笑顔を見た途端、胸がドキッとしましたが、それが何故なのかはわかりませんでした。
ただ一つだけ確かなことがあるとするならば、それは私にとって彼女の存在は特別なものであるということです。
そして、その思いを胸に秘めながら、彼女の後ろ姿を見送ることしかできませんでした。
それからというもの、彼女は毎日のように私にキスを迫ってくるようになり、最初は嫌悪感しかなかったのですが、段々とその行為自体に興味を持つようになってしまいました。
しかし、どうしても抵抗を感じてしまう部分もあり、なかなか積極的になれない自分自身に苛立ちを感じていました。
(私、どうすればいいんだろう)
そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠ってしまい、気がついたら朝になっていたのです。
(またやってしまった……)
そう思いながら、慌てて準備を整えて学校へ向かうことにしたのですが、途中でふと足が止まりました。
(あれ、なんか忘れてない?)
そう思って振り返ってみると、そこには誰もおらず、代わりに彼女の姿がありました。
彼女はニッコリと微笑みかけながらこちらに近づいてきますが、その表情はどこか悲しげにも見えました。
「おはよう、碧衣」
そう呼びかけると、彼女は嬉しそうに目を輝かせ、私の手を握ってきたのでした。
その温もりに触れた瞬間、不思議と心が落ち着いていくような感覚があり、私はホッとした気持ちになりました。
「朝ごはんまだだよね? 一緒に食べようよ」
そう誘われ、断る理由もなかったため、一緒について行くことにしました。
彼女の家に到着し、部屋に案内されると、そこには美味しそうな朝食が用意されていたのです。
それを見て、思わず目を輝かせてしまうと、彼女はクスクス笑いながらこう言いました。
「そんなに喜んでくれるなんて嬉しいな、たくさん食べてね」
そう言いながら、テーブルに料理を並べていく姿を見ていると、なんだか幸せな気分になってきたのです。
(こんな生活もいいかも)
そんなことを考えながら食事を開始すると、やはり彼女は私にキスを迫ってくるのでした。
「ねぇ、キスしようよ」
「えっと、今ですか?」
戸惑いながらも、彼女の真剣な眼差しを見て、結局折れることになってしまいました。
そして、二人で朝食を終えると、一緒に学校へ向かうのでした。
道中、彼女はずっと手を握ってきて、時折甘えたように寄り添ってくるのです。
そんな様子を見て、思わず微笑んでしまいました。
(可愛いなぁ、ほんと)
そんなことを考えながら、私は彼女と共に登校することになりました。
しかし、学校に着くと、周りの視線が気になるようになってしまい、なんだか居心地の悪い気分になってしまいました。
それでも彼女は平然としていて、むしろ積極的に話しかけてくるほどなのです。
そんな彼女を見て、少し羨ましく思う反面、自分に自信がないせいで臆病になってしまうことが多くて悔しい気持ちにもなりました。
だからこそ、頑張って打ち解けようと思って話しかけてみるのですが、どうしても緊張してしまい上手くいかないことが多いのです。
そんな時に、彼女が私に声をかけてくることがよくありました。
「ねぇ、キスしよ」
そう言って、突然唇を重ねてくるのでした。
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