第3話 旅行

もちろん、それ以上の行為に及ぶこともありました。

ただし、それはあくまでも二人きりの時に限られており、人前で行うことはありませんでした。

そして、ある日のことだった。

私は彼女に提案を持ちかけた。

「ねぇ、今度一緒に旅行に行かない?」

それを聞いた彼女は驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔になり答えた。

「いいよ、どこに行くの?」

その問いに、私は即答することができた。

「温泉に行きたい!」

それを聞いた彼女は嬉しそうな顔をして答えた。

「楽しそうだね、行こうよ」

こうして、私たちは初めて二人きりで旅行に出かけることになったのです。

当日、私たちは新幹線に乗って目的地へと向かいました。

窓際の席に座り、流れる景色を眺めているだけで楽しい気分になれました。

やがて、目的の駅に到着すると、私たちはタクシーを拾って旅館へと向かいました。

部屋に入ると、まず目に飛び込んできたものは大きな浴槽だった。

その光景を見た瞬間、テンションが上がってしまい、すぐに服を脱ぎ捨てて入ろうとしたのだが、彼女によって止められてしまった。

「ちょっと待って、せっかくなら混浴しようよ」

その提案に賛成し、私たちは素肌になると、仲良く湯船につかるのでした。

お互いの身体を洗いっこしたり、背中を流し合ったり、まるで夫婦のような行為を繰り広げていました。

そして、最後に二人で湯舟に浸かっていた時のことです。

突然、彼女がこんなことを言い出した。

「ねぇ、ここでしてもいいかな?」

私は驚いてしまい、思わず聞き返してしまった。

「え、何を?」

「もちろん、キスだよ」

それを聞いた瞬間、全身の血の巡りが活発になり、体温が上昇していくような感覚に襲われた。

しかし、断る理由もなかったので了承することにした。

「うん、いいよ」

彼女は満面の笑みを浮かべ、私に顔を近づけてきた。

私もそれに応える形で唇を重ね合わせた。

最初は軽く触れ合う程度だったが、徐々に激しさを増していき、舌を入れるようになった。

唾液を交換し合い、お互いの口内を貪るようなディープキスだった。

その間、私は天井を見つめながらぼーっとしていた。

なぜなら、意識を保っていられなかったからだ。

「もっとキスしようね」

そう言って彼女はさらに激しく求め続けてきた。

やがて、息苦しくなり、一度離れた瞬間、彼女が口を開いた。

「もう一回する?」

その言葉を聞いた瞬間、私の理性が崩壊寸前になったが、なんとか踏み止まった。

「今日はもう勘弁してください……」

力なく答えると、彼女は残念そうな顔をしたが、すぐに元気を取り戻して答えた。

「じゃあ、次はいつにする?」

その言葉に、私は苦笑いしながら答えるしかなかった。

そして、その夜は同じ布団で寝ることにした。

もちろん、ただ眠るだけではなく、様々なことを試してみた結果、最終的には抱き合って眠ることになりました。

翌朝目が覚めると、隣には誰もいなかった。

不思議に思い、辺りを見回すと、ベランダに彼女の姿を見つけた。

どうやら朝日を浴びているようだ。

邪魔しないようにそっと近づくと、彼女はこちらに気づき、微笑んでくれた。

「おはよう」

「おはよう」

挨拶を交わし、私たちは並んで朝焼けを見ることにした。

美しい光景に見惚れていると、ふと彼女が話しかけてきた。

「綺麗だね」

「うん、すごく綺麗」

それだけ言うと、しばらく無言で眺めていたが、やがて彼女が口を開いた。

「あのさ、今日この後どうする?」

私は少し考えてから答えた。

「街に出かけてみようか」

「賛成!」

こうして、私たちの旅は始まりを告げるのでした。

朝食を食べ終えた後、私たちは旅館を出て街へ繰り出すことにした。

最初に行ったのは、地元の商店街だった。

様々な店があり、それぞれ個性的な品物が売られていた。

その中で特に目を引いたのは、古風な雰囲気漂う呉服屋さんだった。

店内には着物や浴衣が並べられており、とても美しかった。

その中でも、私が一目惚れしたのは淡い紫色の着物だった。

彼女に似合うのではないかと思い、試着を勧めてみたところ快く承諾してくれたので、早速着付けてみた。

すると、想像以上に似合っていて思わず見惚れてしまったほどだ。

「どうかな?」

そう聞かれ、私は素直に答えた。

「とても綺麗だと思うよ」

それを聞いた彼女は嬉しそうに笑った。

それからというもの、私たちは着物姿で街を歩くことにした。

途中で写真撮影をしたり、お茶を飲みながら休憩したりと、充実した時間を過ごすことができた。

そして、最後に訪れた場所は神社だった。

そこで、おみくじを引いてみることにしたのだが……。

なんと大吉が出てしまったのだ!

しかも、恋愛運が最高ということで、彼女はとても喜んでいた。

帰り際、彼女がこんなことを言い出した。

「ねえ、お願いがあるんだけど……」

私は何事かと思いながらも聞くことにした。

「何?」

すると、彼女は恥ずかしそうにしながら答えた。

「また来年も一緒に来ようね」

それを聞いた瞬間、心臓が高鳴るのを感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る